■ “戦争法案”に反対広がる
憲法9条で戦後70年守られてきたこの国の平和が、安倍首相の異常とも思える「安保法案」への執着心できょう・あすにでもかつての「戦争する国」に後戻りし崩れ去ろうとしている。それをそのまま許してよいのだろうか。
安倍首相は現在国会で審議中の安全保障関連法案について、「100時間を超える審議で国会議論も国民理解も深まった」として、維新の党との協議次第だが15日か16日にも衆院で野党の反対を押し切って圧倒的な多数与党で強行採決の構えにある。
しかし実際のところ同法案に国会論議も国民理解も深まっておらず、むしろ日に日に「戦争法案を許してはならない」と反対の声が強まるばかりだ。
今月初めの毎日新聞世論調査によると、安保法案に反対が58%とさらに増え、賛成の29%を大きくしのいだ。さらに81%が説明不足を指摘し、61%が今国会での成立に反対した。こうした状況を受けて安倍内閣の支持率も、支持42%、不支持43%で逆転した。
■国民理解なくとも強行
確かに国民の理解度に関しては、去る6日に那覇市内で開かれた衆院安保特別委の参考人質疑でも、同法案に賛成した与党推薦の古謝景春南城市長、中山義隆石垣市長でさえ、「国民の理解が進んでいるとは思えない」と慎重審議を求めたほどだから、まだ国会で採決の段階にあるとはいえない。
それをなぜこうも急ぐのか。それは4月の日米首脳会談で国会審議もまだ始まらないのに日本を飛び越えて国会軽視、国民無視も甚だしい米国追従で、オバマ米大統領に「夏までに成立させる」と約束したからだ。
しかし同法案は大多数の憲法学者が「憲法違反」を指摘以降、「わざと難しい言葉やあいまいな説明でいくらでも拡大解釈できるようにしている」などと疑問と警戒感が増幅拡大。10日夜は若者ら約1万5000人が国会前で「戦争法案反対」の集会を開くなど、このところ連日のように反対集会やデモが国会前を中心に全国各地で相次ぎ、強行採決に危機感を高めている。
さらに全国の自治体からも反対や慎重審議を求める意見書採択が相次ぎ、朝日新聞によると今月初めの段階で反対144議会、慎重審議181議会に対し、賛成はわずか8議会という。
■強行採決は巨大与党の横暴
これに対し高村正彦自民副総裁は過去のPKO協力法採決などを引き合いに、「時間をかければいいというものでもない」と国民の理解が得られなくとも採決の構えを示している。
しかしこれではいくら選挙に勝ったからといって、国民の強い反対や有識者らの「違憲」批判を一切無視して採決を強行するのは、あまりにも乱暴で傍若無人な独裁政治というものだ。
これも日がたつほどに反対の声が広がり廃案になることを恐れたものだ。しかし同法案は若者を「殺し、殺される」戦場に駆り出す怖い法案であり、福祉予算を切り捨て、海外にまで自衛隊を派遣する軍備偏重で戦後70年間守ってきた「平和国家」を壊す安倍首相の横暴を許すべきでない。反対のうねりをさらに広げてまず強行採決を阻止し、廃案に追い込みたい。