家畜用の農耕飼料(配合飼料)が高騰していることを受け、県八重山農林水産振興センター農業改良普及課は飼料作物を作って自給率の向上につなげようと昨年8月、飼料作物研究会(9人)を立ち上げ、会員がトウモロコシについて調査を進めている。これまでの研究から二期作の作型を推奨していく一方、生産コストの低減に向けた作付面積の拡大、牛の発育調査を通した飼料の品質調査などを課題に挙げる。
飼料用トウモロコシは研究会会員の大浜一雄さん(61)=大浜=が名蔵平地原の農地4500平方㍍で「長男が畜産をしているが、飼料が高騰したので安定して作れないか」と3年前から栽培。
大浜さんは専用の収穫機で茎ごとを細断し、サイレージ(発酵飼料)用にラッピングして3農家に供給。「輸入飼料より安く提供しており、普及すれば面積を拡大したい」と話す。
研究会は、大浜さんのトウモロコシ畑でデータを収集しており、台風が襲来する期間を避けた二期作ができることを確認した。
さらに、作型スケジュールから夏植えのサトウキビとの輪作体制の確立も可能となっていることから、サトウキビの生育・収量への影響、赤土流出対策と堆肥還元の効果なども調査していく考え。
研究会は29日午後、現地検討会を開き、生育状況や収穫の様子を見学した。葉タバコやサトウキビのほか、小規模で畜産も営んでいる宮良隆雄さん(60)=真栄里=は「飼料の高騰は今後も続くと思う。将来のためには自給したほうがよい。穀類の飼料は牛の食い込みがよい」と期待した。
改良普及課の河野伸二課長は「飼料は今後も現状維持か高くなるかだろう。自給飼料を増やし、質を改善できたらと思っている」、小山裕美子主任技師は「コントラクター(飼料の収穫などを請け負う組織)方式を取り入れられないかと思っている」と話した。