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教員を「育てる」ということ

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 人材育成がはかどらない焦燥か。このところ教員養成に関する話題が立て続けにあった。

■琉球大学に教職大学院

 琉球大学は「教職大学院(高度教職実践専攻)」の設置申請を文部科学省に提出した。2016年4月の開設を目指す。今ある修士課程は「専門性の理論の追求」を柱にしている。それに対して教職大学院は「理論と実践の融合」を基本としたのが特徴。現在の学校現場が抱える課題に対応できる人材の育成を目指す|としている。「県内で長年の課題となっている学力問題と生徒指導を一体的に捉え、対応できる教諭の育成」(小田切忠人・大学院教育研究科長)をするという。

 具体的には、定員は14人で10人程度は現役教諭を想定。2年間の課程のうち2年目は学校現場に戻り、現場での実践を通した研究。大学院指導教員が学校現場に出向いての指導。教育実習を必修とする|など現場主義研究ともいえる仕組みである。

 基礎研究が深まっても、それを使いこなせないでは創造が遅滞し実学への貢献を失ってしまう。今回の琉大の教育大学院設置計画はこんなことを考えさせてくれる画期的にして革新的なチャレンジである。

■教員国家免許化・採用試験全国共通化

 自民党の教育再生実行本部は、小中高校の教員の資質を向上させるためとして、教員免許の「国家免許化」を提言している。現在、教員免許は大学で教員養成課程を修了すれば都道府県教育委員会に申請、該当する免許状が付与される。これを課程修了後に共通の国家試験を実施、合格すれば学校現場での研修(インターン)を経て文部科学大臣が付与する仕組みに変えるというもの。

 大学で学部に併設されている「教職課程」で単位をとれば容易に「教育職員免許状」が取得できる現在の仕組みでは、なかなか優秀な人材は育たない。そこで、ある一定の水準に達しているかを計測する|こういう考えが出ても、決して突出した考えとはいえまい。

 だが、国家試験といっても教員免許試験の場合、医師免許試験や司法試験などと異なり客観性が保てるか不安が残る。「時の政権に与(くみ)する」ことが作問される恐れさえある。ハードルが高すぎれば教員志望者が減るということも考えられる。

■教員は厳格な存在

 また、政府の教育再生実行会議は、現在、都道府県単位で実施している教員採用筆記試験の全国共通化を画している。日程調整で他県の受験の道が開け、複数回受験できる可能性があるという点でいい。受験勉強の無駄をなくし打ち込めるのがいい。だが、個性をなくし平均化された教員の粗製では困る。各県は特色ある2次試験や技能試験に独自色を出さねば有為な人材は得られまい。 

 物事がうまく運んでいないとき、それを改革改善することをためらってはいけない。「流行を知らざれば風(ふう)新たならず」だ。

 心することは、利に走らず公論を形成するということ。教員は人を育てるという厳格な存在。それをも教える採用試験でなければならない。均衡ある「育成と採用」を考える機会としたい。


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