石垣市は24日までに、農政経済課に事務局を置く赤土等流出防止営農対策地域協議会で、農家と個別に相談しながら赤土流出防止対策を推進する農業環境コーディネーターら2人を今月から増員、協議会を3人体制にして営農対策の強化に乗り出している。現在、赤土流出の危険度を示す県作成のハザードマップに基づいて優先する農地のリストアップを行っており、今後、重点的・効果的な対策につなげていく考えだ。
県は2012年度から5カ年計画で、さまざまな手法を組み合わせて赤土流出防止対策を行う「沖縄の自然環境保全に配慮した農業活性化支援事業」を実施しており、本年度からは流出危険度の高いサトウキビ畑から優先的に対策を進めることになった。
市は同事業を導入して地域協議会に委託。同協議会はこれまではコーディネーター1人で業務を行っていたが、市は本年度、県内6地区のモデルケースの1地区になっていることなどから、コーディネーター1人を追加、事務局職員1人を配置した。
コーディネーターは、流出危険度の高いサトウキビ畑の個別の農家と接触し、情報交換しながら対策に必要な資材を選定、提供する。具体的にはグリーンベルト、葉がら、緑肥、地中の硬板土質を砕く心土破砕など、いくつかの手法を組み合わせた対策を実施する。
コーディネーター3年目となる大浜光弘さんは「これまでは全農地を対象に、農家から緑肥などの申請があれば無償で提供していたが、これからはハザードマップに基づき、こちらから一戸一戸の農家にアプローチして対策をしていくことになる」と説明する。
新たにコーディネーターとなった小林孝さんはWWFジャパンに勤務した経験があり、これを土壌保全にも生かしたい考え。「赤土流出については農家も被害者という認識が広がっており、昔に比べて対策をする農家が飛躍的に増えている。対策の選択肢も広がっており、具体的な方策を提案できるようにしていきたい」と意気込む。
川平湾を望む川平仲筋の斜面でサトウキビを栽培する大底勲さん(65)は「土が流れるのはもったないので流出防止対策をしているが、まだ全ての農家には浸透していない」と指摘している。