きょうは「時の記念日」である。天智天皇が日本で初めて水時計を用いて時を刻み、鐘を打ち鳴らした671年4月25日が、太陽暦に直すと6月10日に当たることから1920(大正9)年にこの日が制定された▼記念日は時間を尊重し、定時の励行によって生活の改善を自覚するのが狙い。朝から夜まで容赦なく時が人を追いかける。あくせく過ごしているうちに目の前の瞬間だけに心を奪われてしまってはいないか▼俗に「歳月人を待たず」「少年老い易く学なり難し」「時は金なり」といういずれも時間の大切さを表すことわざである。なん人も時間を止めることはできないのだから至言であろう▼時間の厳守は相手への思いやりから生まれる。時は生計を立てる報酬を生み、人間を育む。しかし、人生はマラソンなのに現代の都市生活者は、息せき切って百㍍競走を続けているような時間に追われ、せかせかして精神的なゆとりを失いつつあるのではないか。いま、自分のいる位置を見極める時間的余裕も必要▼時間は二度と取り返すことはできない。ならば人生を前向きに明るく楽しんで生きる。理想を持ち、悠然と自分を生かしながら生きてゆく姿は、周囲に感動すら与える▼一回限りの貴い人生、自分自身の花を咲かせるためにも時間はおろそかにはできない。(鬚川修)
↧