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五つのダム連結運用で農業振興

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■国営「石垣島地区」本格化

 農業用ダムを中心とする石垣島内の国営かんがい排水施設を改修、再編整備する国営かんがい排水事業「石垣島地区」は、22日、市内浜崎町に事業を担う内閣府沖縄総合事務局石垣島農業水利事業所(八木康夫所長)が開所。本年度、工事が本格化する。

 1977年の真栄里ダム着工から始まった島内の国営かんがい排水事業は、これまでに五つの農業用ダムと関連施設を整備し、土地改良区内のほ場に農業用水を供給してきた。だが、整備後30年余が経過し、老朽化した施設の維持管理費が増大。加えて農業経営の多様化で、水の使い方も変化している。老朽化した施設を改修・再整備することで、多様化した水の需要に対応し、農業生産効率を高め、農家の所得向上、経営の安定を図る。

 計画では2014年度から25年度までの12年間で、底原、真栄里、名蔵、大浦、石垣の島内五つの農業用ダムをパイプラインで連結。島内全域でダム水の総合運用を図る。受益面積は4338㌶。これまで、かんがい施設の未整備でダム水が十分活用できなかった北・西部地区684㌶が新規で加わった。

■761億円の巨大事業

 今回の事業で25年度までの12年間に投じられる事業費は、国営281億円。関連事業を含めると761億円規模の巨大事業。5カ所のダムと頭首工3カ所を改修するほか、揚水機場6カ所を新設・改修。既存用水路55㌔を改修するほか、北西部地区などに水を引くため新たに50㌔を整備する計画。

 この事業は、新石垣空港完成後の目玉事業として、地元の建設業界も注目。市の経済活性化への期待も大きい。工事発注に関し同事業所は、同事務局から9000万円未満の契約業務の移管を受け「地元でできる工事は地元でやってもらう」と、市内に本店のある業者を優先する考え。

 本年度は総事業費7億5600万円が確保され、予定工事5件のうち3件を同事業所が発注する予定。

 せっかくの好機を活かし、実績を積むためにも工事を担う市内の建設・土木業者には、技術者を含めた労働力をしっかり確保し、対応することが求められる。

■受け皿整備を急げ

 同事業で島内五つのダムを連結し、ダム水を総合運用することで、島内全域で今までよりも安定的な水の利用ができるようになる。

 その一方で、ダム水を利用し、より生産性を高めるためのほ場の面整備、畑かん整備が遅れているのが現状だ。

 県農林水産振興センターによると、受益面積4338㌶に対し2015年度末時点の面整備は2437㌶(56%)、畑かん整備が2685㌶(62%)と、いずれも6割前後にとどまっている。

 ほ場整備には、受益農家の同意や事業費の確保など、高いハードルがある。だが、今回の国営事業で再編整備される五つのダムから供給される農業用水を有効活用し、農産物の生産性を高め、農家所得の向上、経営の安定を図るためにも計画的な受け皿整備が必要不可欠だ。


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