課題探り施策に反映
中小企業の振興に関する施策を推進し、地域経済の発展に寄与するのを目的とした石垣市中小企業振興基本条例が、4月1日から施行されている。条例は基本的な方向性を示すだけの理念条例となっているため、条例に明記された中小事業者ら関係者との意見交換の場を設置して施策に反映させるなど、具体的な取り組みが求められてくる。
条例の対象は石垣市内に事業所を有し、中小企業支援法に該当する中小企業で、市内のほとんどの事業所をカバーしている。
条例に盛り込まれた基本的施策は▽経営の革新・創業の促進▽経営基盤の強化▽資金調達の円滑化▽人材の確保と育成▽海外展開|のほか、商店街の振興、観光サービスの発展、地域資源の利活用による農商工連携や6次産業の発展・創出などと幅広い。
施策の策定に当たり、情報や意見を交換する場として会議の開催が規定されており、これによって中小企業の現状や課題を把握し、解決の手法を探る狙いがある。
商工振興課によると、現在、会議の構成メンバーなどを調整中。天久朝市課長は「これまでは市が情報を収集して施策を考えてきたが、今後は関係者との話し合いの場を設け、意見を吸い上げて施策に反映させていきたい」と話している。
市は今後、実施した振興施策をホームページなどで公表する。
官民一体で施策作りを同友会OBの飯田さん指摘
石垣市中小企業振興基本条例は、県中小企業家同友会八重山支部が長年、要請し続けてきたもので、条例案づくりに関わった前八重山支部長の飯田実男さん(63)は「行政任せではなく、官民一体となって施策づくりができる。地域の発展のために、どう条例を生かすかが課題となる」と指摘する。
条例制定を要望した背景について飯田さんは「これまでは意見交換の場がなく、行政任せだった。公共事業は予算に限りがあり、将来を見据えた地域の産業をどうしていくのか、みんなで考える必要がある」と説明する。
条例が扱う基本的施策は観光、農商工連携、6次産業化などと間口が広く、飯田さんは「若い人が夢を持ち、島に戻って来たいと思えるまちづくり、永続的に発展できるような地域づくりを、みんなで考えないといけない」と強調する。