新城剛絵画展実行委員会(石垣博孝委員長)は27日夜、大浜信泉記念館多目的ホールで「新城剛の世界」をテーマに第3回やいま文化講座のシンポジムを開き、第1部では八重山出身の画家、大浜英治氏が新城氏の絵画の魅力や画歴を紹介。第2部ではコーディネーターの大田静男氏と画家の宮良長明氏、新城氏の長女、高良音絵さんを交えて新城氏の作品に込められた思いや生い立ちなどについてパネル討論した。
新城剛氏は1991年に海難事故に遭い、44歳で亡くなった。同実行委は25回忌に合わせて7月に「新城剛絵画展」を開くことにしており、シンポはその関連事業として開催。会場には約50人の市民が訪れた。
大浜氏は新城氏の世界を振り返り、「新城が描く世界はムンクで知られるノルウェーやドイツの表現派に近い。原色を使い、人間の内側から湧き出てくる色彩と流動的な描き方が特徴」と解説した。
八重山の風土や祭祀(さいし)をモチーフにした抽象画「アカマタ」シリーズについては「画家として自分が何を表現したいか深刻に悩み、絵を描き続けることに自問自答していた。自分の立ち位置、アイデンティティーがどこにあるか悩んだ末、故郷の八重山の文化と歴史を色彩で象徴した作品」と評した。
パネル討論で宮良氏も同シリーズに触れ、「アカマタとクロマタを意識した赤と黒の外側に白の線があり、シロマタもイメージしたのではないか。背景の緑は八重山の土着表現だと思う」と話し、高良さんは「赤と黒の絵画は私にとって温かい色。父と母の性格がはっきりと表されている絵」と語った。