【西表】国指定特別天然記念物イリオモテヤマネコの目撃情報が2014年で485件となり、過去最高を記録した前年の371件から急増していることが16日、西表大原ヤマネコ研究所のモニタリング調査で分かった。同じ個体の目撃が多発したことが要因。同研究所は「ヤマネコが道路に慣れてきている可能性があり、車慣れから交通事故につながりかねない」(岡村麻生所長代理)と懸念している。
目撃情報の収集は生息モニタリング調査の一環として実施しているもので、同研究所によると1996年に167件を記録して以降、減少傾向にあったが、2007年から増加に転じた。09年には337件と急増したものの、10~12年は200件前後にとどまり、13年から大きく増加している。
岡村所長代理は同日、離島振興総合センターで開かれた14年度イリオモテヤマネコ保護増殖検討会で「特定個体が頻繁に路上に現れるという状態が一時的に見られる特異な現象ではなく、恒常的な状態になってしまったことを示している」と分析。
5年スパンの事故件数でみると、10年以降、交通事故が急増、定住個体が事故に遭うことが多いことから「定住個体の入れ替わりが頻繁となり、ヤマネコの社会構造の不安定化につながっているのではないか」と述べ、早急な交通事故対策の必要性を強調した。