昨年8月の与那国町長選挙で再選を果たした外間守吉町長(64)。3期目の町政に取り組んでいる。まちづくりの指針となる総合計画の見直しや一括交付金の活用、陸上自衛隊沿岸監視部隊配備に伴うインフラ整備など、今後の町政運営や課題、振興策についてインタビューした。
■2013年を振り返って
2012年末には、後進に身をゆずるつもりでいたので、こうして町長3期目を務めているのは不思議な感じ。
昨年は選挙をはじめ、自衛隊配備に関する裁判、一括交付金であらゆるメニューを実施できるようにするためのブラッシュアップ、日本トランスオーシャン航空(JTA)の与那国路線撤退など、さまざまなことがあり、忙しい1年だった。
■今後の展望
自衛隊配備で新たな事業が出てくることが予想される。今後の島づくりをどう行っていくか、優先すべきことを町民と話し合い、総合計画に組み込んでいく必要がある。町民の生活向上につなげていきたい。
一括交付金については、実施できていないものもあり、繰越事業が多くなっている。国や県との調整に苦労しているが、近いうちに満杯になることが予想される一般廃棄物最終処分場に対応するための焼却炉整備や光ファイバー導入に向けた埋設工事の準備、製糖工場の建て替えなども予定されており、しっかりと取り組めるようにしたい。
また、給食センターの建設などもあり、町の負担分が多いため、補助率をどのように上げていくかが課題となっている。
このほか、2014年は、八重山村が分村し与那国村が設立されてから100周年を迎えることから、与那国人大会などの大きなイベントを予定している。
■農林水産業
新たな製糖工場の建て替えが2014年から始まり、15年完成が予定されており、サトウキビの増産を期待したい。町内のキビ生産量は、過去10年の平均が4万8000㌧で単収(10㌃当たりの収量)は5・1㌧。新しい製糖工場では、生産量7000㌧、単収を7㌧まで持っていけるようにしたい。
カジキについては、なかなか高値が付かないため、一定の価格が付くよう、島外でカジキを使った料理や加工品などをアピールするトップセールスを展開し、カジキの認知度を上げ、漁業関係者が安定した収入を得られるようにする。
■与那国観光
150人乗りのJTA機が与那国路線から撤退し、琉球エアーコミューター(RAC)の39人乗りの単独運航になったことで、団体客の受け入れが困難になった。
南ぬ島石垣空港の開港に合わせ、格安航空会社(LCC)の参入したことにより同空港を発着する航空運賃が安くなり、与那国島まで足を伸ばしてくれることを期待したが、石垣|与那国間の運賃が高いためか、入域観光客数は伸びなかった。
観光メニューの開発や受け入れ態勢を整備することも大切だが、入ってくる入り口が狭くては観光客増は厳しい。いま一度、ジェット機の就航を要請していきたい。
■台湾との交流
台湾交流会館を建設する計画。3億円ほどの予算を組んでいる。姉妹都市の台湾・花蓮市との交流をまとめた資料や文献などを展示し、子どもたちの教育や今後の相互の交流の発展に役立てるようにしたい。
■自衛隊配備について
昨年の選挙で私が当選したことである程度の結論が出たと思う。今後は地域振興のために何が必要であるか、町民とともに話し合い、考えていくことが必要となってくる。
■今年の抱負
今年は午(うま)年。わが町にも与那国馬がいるので、それにあやかって町全体でどのようにして協働のまちづくりに取り組んでいくか、地域の意見をたくさん取り入れながら、去年よりも今年、今年よりも来年と発展させる環境をつくっていくためにも、いろんな知恵を拝借しながら自衛隊配備に伴うインフラ整備などと並行させながらの島づくりをしっかり立ち上げたい。