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愛らしい与那国馬

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2012年3月の海開きではナーマ浜で馬はらしも行われた=2012年3月18日

 今年の干支は午(うま)。馬は家畜のなかでは高い知性を持ち、愛情を込めて育ててくれる人に対し従順な態度をみせる。農耕や作物の運搬、乗用など古くから人間の営みに寄り添ってきた。近年ではスピードやパワー重視、毛並み、見た目などを目的に、品種改良が行われ純血種は少なくなってきたが、日本在来種の馬は北海道の和種馬や長野県の木曽馬、鹿児島県のトカラ馬など8種おり、八重山郡内では与那国馬が日本在来種となっている。

 与那国馬の体高はおよそ110㌢から120㌢と小型。毛色は鹿毛が中心。離島に生息しているため、他品種との交配や品種改良が行われることがなく、種が保存されてきた。希少な日本在来種として1969年3月25日に与那国町の天然記念物に指定された。

 与那国馬は農耕や農作物、薪の運搬、人の移動などに使用されてきたが、農機具の機械化や自動車の普及などにより、活躍の場を失い数を減らしていった。

 日本馬事協会の調査では、1968年には210頭いたが、77年には48頭まで減少。75年に設立された与那国馬保存会(大嵩長史会長)が保存と増殖に取り組み、2012年には130頭まで回復した。現在では、島内の北牧場や東牧場などで飼育されている。

 また、同保存会では、与那国馬にマイクロチップを埋め込み、個体識別などを行い、与那国馬の血統登録などに向けて準備を進めている。

 大嵩会長は「全国の他の地域に比べ、与那国馬は順調に増えており、今後は増殖だけでなく活用についても考えていかなければならない。また、Iターンで島に移住してきた人たちなどの馬主も増加していることから、登録を通しての馬の把握や雑種との交配を防ぐための管理体制の徹底が必要となっている」と話す。

 与那国馬は現在、農耕や運搬にはほとんど使用されていないが、人なつこく、おとなしい性質から主に観光で活用されており、NPOヨナグニウマふれあい広場では体験乗馬や青少年の育成、環境教育、セラピー、各種イベントへの参加などで与那国馬とのふれ合いや周知などに取り組んでいる。


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