■好調な八重山観光だが
新石垣空港が開港2周年を迎え、乗降客数は232万人余(前年は206万人余)となり2年連続で過去最高を更新した。観光客数も112万人余(前年は94万人余)、観光消費額は653億円余となり八重山経済の中心となってけん引している。平成16年から24年までの9年間、八重山観光は1500㍍の滑走路という旧空港の限界の中で70万人台と低迷していたが、郡民待望の新空港開港によって航空輸送の課題が進展し、本土直行便や中型機、LCCの就航、運賃低減等によって一気に上昇気流に乗ることができた。
沖縄県全体の観光も順調で、昨年は705万人余と過去最高を記録し、1000万人観光客時代が現実的なものとして視野に入ってきた。
好調な観光だが沖縄県全体に比べて八重山観光はオン・オフシーズンの季節変動が大きいことと1人当たりの観光消費額が低く、産業としての格差が広がっている事が課題となっている。
■沖縄本島との観光格差
トップシーズンの8月とオフシーズンの1月で比較すると、沖縄本島がトップの8月に比べオフの1月でも68%台を維持して年間を通じ比較的平準化が図られているが、八重山は冬場には42%台まで落ち込み、事業経営や雇用の面からも不安定となっている。
観光消費額の中心となる宿泊単価(1人当たり室料)は、本島の大手34社平均が8706円であるのに対し、八重山地区大手7社では5621円(本年1月実績調査)で、本島の65%程度となっていて格差が大きい。
観光の経済的規模は本島の7分の1で、マーケットとしては小さいが本島にはない八重山らしい離島の魅力を常に発掘、発信し格差是正を目指さなくてはならない。クルーズ船等を除いた宿泊旅客は昨年95万人、年間稼働率は平均53%程度にとどまる。格差を縮小するためには、既存施設の改善から先行し、業界、金融機関、行政全体で取り組むべき喫緊の課題である。
さらに閑散期である冬場の誘客対策に官民挙げて知恵を絞ることが課題だ。
ゴルフ場や水族館、MICE施設等の建設など観光インフラ施設の早期整備、ソフト面では冬場のスポーツ大会誘致や文化イベントの開催などを通じ、海外からのインバウンド客を取り込み、底上げを図ることが肝要だ。
■まだ高い航空運賃
急きょ開催された石垣市主催の新春花火大会は、準備不足で課題はあったが、冬場の風物詩として地域全体で盛り上げ、今後も継続開催すれば着実に誘客に結びつくだろう。
冬の格安ツアー料金は東京発2泊3日でグアム島が1万9800円、沖縄本島が2万9800円、八重山は4万9800円が相場という。スカイマーク社撤退で航空運賃の高止まりが懸念されるが、グアム等との料金を比較しても八重山の航空運賃はまだ高く、運賃引き下げの余地が多いといわざるを得ない。
開港3年目は北陸新幹線開業、高野山開創1200年祭等国内イベントの多い年で観光地間の競争激化が予想されるが本年目標の120万人突破を目指し、官民一層の努力に期待したい。