■人口増加は保育環境が整ってこそ
4月からの「子ども・子育て支援新制度」を前にして行政は一層子育てに力を貸したい。未来を見つつ国力を考えてみた。それはある一定の人口が保たれていなければ得られない。しかも国を治めるに足る資質を備えた人材で構成される必要がある。
人口減少期に入り漸次ひずみが出始めているように思える。第1次産業や生産面での労働力不足がそう思わせる。外国にそれを求めるようではおぼつかない。知的生産も諸外国に押され、その水準を維持するのに苦労している体だ。
子育て環境をよくし出生率を上げ、そして優れた人材、よき国民を育てたい。少子化担当大臣を配置するなど対策に努めているが道遠しの状況だ。わが国の社会状態をみたとき、多くの家庭は夫婦して働かなければ生活していけない状況にある。辺地では特にそのことが言えよう。就学前の保育環境が整っていないところで安心して子育てなどできない。その点、石垣市はいい方向で進んでいるのではないか。
■認定こども園で充実を
本県の場合、これまで幼児教育は4歳までは保育所、5歳で幼稚園、6歳で小学校入学の経緯をたどってきた。だが、教育の先進県と言われているところは幼稚園を2年、もしくは3年保育が普通。これは、他県の場合、私立幼稚園が多く、受け入れやすい。経済的にゆとりがあり、降園後家庭での子育てが常態化している|など保育環境が整っているからだ。
石垣市の進める「認定こども園」の施策をたたえたい。そのことで幼稚園3年保育の拡充に道を開き幼児教育の質的向上と安心して働ける環境ができる。幼稚園は学校教育法で言う「学校」である。教育要領に基づいた系統的、計画的な保育ができる。幼児教育に難点があった本市だが、その充実が期待できよう。認定こども園は幼稚園と保育所の機能を併せ持つ。だが、両者は本来役割が違う。このことによく研究・研さんを積む必要がある。そのためにはよき人材の確保が急務だ。
■幼稚園・小学校の連携促進を
近年、学校教育において「学びの連続」を重視している。効率的な教育、無駄のない指導を|ということだろう。中高一貫校設置にそれをみる。県は6年間の計画的、継続的な教育指導で国内外の難関大学進学者を目指すため、来年、開邦高校と球陽高校を中高一貫校にする。12年には県内公立学校では初めてとなる施設一体型の小中一貫校・緑風学園が名護市で開校している。
加えて、文科省は義務教育小中9年の区切りを教育委員会に委ねることを検討している。大学入試改革が手伝って高校・大学の接続も進んでいる。そういう学校教育の方向や流れを見たとき、幼稚園と小学校の連携教育も充実させねばならない。
本県は、戦後の米軍統治下で小学校に公立幼稚園が併設された歴史的背景がある。そのため、5歳児の就園率が全国一高い。小学校との交流・連携がしやすい環境がある。その地の利を生かさない方はない。