■11年度から10%を負担
土地改良済みの圃場からの赤土流出と沿岸の赤土汚染を防ぐ県営水質保全対策事業が、1993年度から県内各地域で実施されているが、事業費はこれまですべて国・県の負担だったのが、2011年度から県が財政難を理由に市町村にも負担を求め、本年度で4年を迎えた。
この市町村負担に「なぜ土地改良事業の失敗の付けを地元住民に転嫁するのか」と一貫して反対を訴え、負担の撤回など見直しを求めているのが石垣市区選出の高嶺善伸県議だ。
昨年9月の県議会でも見直しを求めたが、「市町村長の同意は得ている」として議論は平行線をたどった。
確かに同事業は、本土復帰以降の大がかりな国、県の土地改良事業で赤土流出と沿岸の赤土汚染が大問題となったため、圃場の傾斜を勾配修正するなどして赤土流出を防ぐ必要があるとして国が75%、県が25%の100%補助の地元負担なしで出てきた環境汚染防止のための防災事業だ。
そういう事業の経緯からして市町村に負担を求めるには疑問があるし、市町村も見直しを求めるべきだ。
■土地改良事業の負の遺産
実はこの赤土流出問題では本紙もかなり以前の2001年に「問題になっている沿岸の赤土汚染や耕土流出は、地域の実情を無視した本土と同様の画一化した工法で進められた大がかりな農地開発事業の負の遺産。県や市町村レベルの赤土対策では全く成果はないし、国の責任で赤土対策すべきだ」と国営事業での対策を問題提起。
これを受けて石垣島赤土流出防止協議会が当時石垣を訪れた田中直紀農水副大臣らに要請。国も理解を示して大幅に同事業費が増額された経緯があるだけに、いつの間にか市町村から負担金を徴収していることに驚いた。
これは2010年度の新行革プランで県が財政難を理由に県負担分25%の見直しを決め、11年度から本島内の市町村は半分の12・5%、石垣市や竹富町など離島は10%の負担になった。
この見直しについて県農地農村整備課サイドは、国から指導があったなどということはなく、あくまで県として各市町村と協議して理解してもらったとしているが、ただ正直いって県から求められれば市町村として簡単に拒否できるものでないのも確かだろう。
■最終的に8億7千万円負担
現在八重山では石垣市が新川、白保など10地区、竹富町が波照間、小浜の2地区で勾配修正、沈砂池工、グリーンベルト工、排水路工などの工事を進めているが、この結果高嶺県議によると、県の回答では全事業完了までに石垣市は10%負担で最終的に6億3900万円、八重山全体では8億7300万円を負担することになるという。
高嶺県議によると、県議会で否決しようにも市町村長の同意書が添付されているので否決できないのが現状であり、事業実施市町村や議会が見直しの声を挙げる必要がある。
石垣市の15年度予算案は、基金から8億円余を繰り入れなければ編成できないほど財政は危機的状況にある。幸い今回の県知事選で知事が代わり高嶺県議も与党になった。市町村が積極的に見直しを働きかけるべきだろう。