石垣市に農業用水と水道用水を供給している真栄里ダムは、夜間断水が解除された昨年11月29日以降もまとまった雨が降らず、貯水率が回復していない。断水解除以降、同ダムでの累計雨量(1月22日現在)は55日間で193㍉、1日平均は3.51㍉となっている。貯水率は一時49%台にまで上昇したが、23日時点で44・2%まで減少している。真栄里ダム管理事務所の担当者は「例年より雨量が少なく、満水位まで回復するのは長期化する見通し」と説明。石垣市水道部(与那国明弘部長)は引き続き節水を呼びかけている。
市水道部によると、上水道の取水計画は1日当たり3万160立方㍍。このうち真栄里ダムからは全体の4割を占める1万2200立方㍍を取水。
同ダムは2013年5月から10年に1度起きる渇水時に際し、上水道の安定的な取水を可能とするため水道用水への供給を優先。農業用水については石垣島国営土地改良事業の全体計画で底原ダムから取水している。
このため、石垣島地方気象台が1955年に統計を取り始めて以降、年間降水量が1300㍉と4番目に少なかった昨年は、上水道の断水期間は9日間で済んだという経緯がある。
真栄里ダム管理事務所によると、同ダムの現状はダムへの流入とダムからの放流のバランスが保たれている。於茂登導水路で結ばれている農業用水の底原ダムは39・5%(23日現在)と不安定の状態だが、真栄里ダムから底原ダムへは送水していない。
担当者は「(真栄里ダムは)昨年1月の貯水率は100%だったが、今年は厳しい」と話す。
市水道部の与那国部長は「貯水量が増えないので、水の使用量を調整するなどやりくりしている。2月の雨や梅雨時期に期待するしかない」と語った。