【那覇】第40回新沖縄文学賞の表彰式(沖縄タイムス社主催)が23日、那覇市のタイムスホールで行われ、同文学賞に輝いた八重山毎日新聞整理部記者のの松田良孝さん(44)に沖縄タイムス社の豊平良孝社長から賞状などが贈られた。松田さんは2004年に著書「八重山の台湾人」で同社の出版文化賞正賞に輝いており、今回初めてダブル受賞者となった。
受賞に松田さんは「八重山と台湾の関係をフィクションとして挑戦した。(今後も)八重山の持っている多様性を書く手段として、いろんな形で表現していきたい」と述べ、創作に意欲を示した。
作家で選考委員を務めた又吉栄喜さんは「今回は際立っていた。選考委員がもめることなく、1回目の投票で松田さんの作品に決めた。見事な作品だった」と講評した。
松田さんは、ビル管理会社のエレベーター監視カメラからドラマが展開する「インターフォン」と題した作品で受賞。那覇市内を舞台に石垣市出身の語り手ケイ、友人で与那国出身で同級生ユミ、都市の集合住宅に孤独に生きる台湾出身の老女が織りなす複雑な多文化世界を描いた。
同文学賞は応募13編のうち、5編が1次選考を通過。作家の又吉さんと中沢けいさん、名桜大学学長の山里勝己さんが松田さんの作品を一致して受賞作に選んだ。表彰式後には祝賀会が開かれ、多くの関係者が松田さんの受賞を祝福した。
受賞作「インターフォン」はタイムス文芸叢書として刊行され、県内の書店で販売される予定。問い合わせは沖縄タイムス文化事業局、電話098(860)3591。