【西表】国指定の重要無形民俗文化財に指定されている西表島祖納と干立の節祭(シチ)が26日、両地区で行われ、こっけいなしぐさをみせる干立の「オホホ」、黒い装束に身を包んだ祖納の「アンガー」などが登場し、島独特の多彩な奉納舞踊が繰り広げられた。両会場には石垣から駆けつけた郷友会員やカメラやビデオを手にした大勢の観光客が詰めかけ、古式ゆかしい節祭を堪能していた。(28日に写真特集)
節祭は今年の豊作を感謝し、来年の五穀豊穣(ほうじょう)と地域住民の無病息災を祈願する行事。1991年に国の重要無形民俗文化財に指定された。
干立公民館(石垣長健館長)の節祭は同日早朝、干立御嶽前の「前の浜」でヤフヌティ(櫂の手)や船こぎが行われた後、御嶽の境内では狂言や巻踊り、棒術、ミリク行列、獅子舞などが次々と奉納された。
中でも、大風呂敷に大金を詰めた干立独特の「オホホ」はひょうきんな面をかぶり、「オホホー オホホー」と奇妙な声を上げ、ユニークなしぐさで観客を盛り上げていた。
祖納公民館(古見代志人館長)の節祭は、正午から公民館で「スリズの儀式」を行った後、前泊海岸で舟浮かべの儀式や大勢の子孫を引き連れたミリク、全身黒ずくめのアンガー行列が厳かに入場。ミリクが船元の御座に着席し、奉納舞踊が次々と繰り広げられた。
潮が満ちた午後4時すぎからはユークイ儀式(舟こぎ)があり、舟子たちが2槽の舟で威勢よく海にこぎ出し、浜辺では婦人たちがドラと太鼓を打ち鳴らして舟を招き寄せた。
この日は、潮の影響で干立地区の節祭が同日早朝、祖納地区の節祭が同日午後から行われたこともあり、両地区の住民がお互いの祭りの見学が可能となった。
初めて干立地区の節祭を見たという前祖納公民館長で西表民俗芸能保存会のメンバーでもある那根操さん(62)=祖納=は「満潮に合わせて最初に舟こぎを行う伝統を守り続けている干立の節祭も素晴らしい。同じ歌でも節回しが違っている点もあって興味深い」と驚いた様子だった。