【西表】古見地区の十五夜祭りが8日、56年ぶりに復活した。昨年4月に復元させたばかりの「ティダ旗頭」を中心に、地域の人たちは見事の満月のもとで集落を練り歩き、長年途絶えていた祭りの復活を喜びあった。
古見の十五夜祭りでは、そのときにしか使用しない「ティダ旗頭」を掲げて行うことになっている。ところが、50年以上前の台風で「ティダ旗頭」が壊れて以来、十五夜祭りも開催されてこなかったという。
このため、十五夜祭りの復活を目指して、新盛基代古見公民館長の弟、一雄さん(59)が昨年4月、地域の長老の仲本芳雄さんの記憶を頼りに旗頭を復元した。ただ、古見地区では同年、仲本さんが89歳で亡くなるなど不幸が相次いだことから、十五夜祭りの復活は今年に持ち越していた。
今回の十五夜祭りは同公民館や古見・美原・由布青年会(山田敬三会長、12人)が中心になって実現。
空に満月が浮かび始めたころから、青年会が古見小学校や集落内のつじで「ティダ旗頭」を持ち、ドラや太鼓の音を響かせた。恒例の綱引きもあり、大勢の人たちが参加した。
芳雄さんの妻、セツさん(86)宅前でも旗頭が披露され、「オジーはこんな祭りが好きだった。長いことやっていない綱引きや旗頭を見られて、喜んでいるはず」と芳雄さんの思いを語り、目を潤ませた。
新盛館長は「このような祭りを継続してきた先人たちを誇りに思う。古見の神も仲本のオジーも、以前のように綱引きが行われ、祭りが復活したことを喜んでいるはず」と声を詰まらせながらあいさつした。
山田会長は「ここで生まれ育った青年会員はほとんどいない。みんな島外の人。『昔はこうだった』という話を聞いて、みんなでやろうと取り組んだ。若者が楽しく、元気でやっているエネルギーを伝えたい」と語った。