石垣島出身の詩人・作家の伊波南哲(1902~76年)の次女、滝沢恵子さん(74)=東京都練馬区=ら4人が8日午前、石垣市立図書館(吉見武浩館長)を訪れ、南哲が残した日記や著作、写真などの資料128点を寄贈した。
南哲は戦前から戦後にかけて郷土に根ざした作品を多く残したが、石垣島には現物が残っていなかった。このため、ジャーナリストの三木健さんが滝沢さんに働きかけ、南哲の誕生日の8日に寄贈が実現した。
滝沢さんによると、南哲は晩年、滝沢さんの自宅で過ごして亡くなり、滝沢さんがこれまで資料を保管してきた。
長男の故・弘祐氏宅(西東京市)にも戦前に刊行した著作も残されており、併せて寄贈された。
同図書館では今後、寄贈を受けた資料の目録リストを整理し、新年度にも一般公開する計画。吉見館長は「なるべく来年度には公開できるようにしたい。閉架資料として活用していきたい」と話している。
寄贈式で滝沢さんは「納骨に来たような気持ち。父が最後まで愛した石垣島で永久に保存してもらえるということで喜んで提供させてもらった。『温故知新』の言葉の如く、古きを知って新しく前に進んでもらいたい」と期待した。
南哲の妹の東金城秀子さん(91)=那覇市首里=は「とても妹思いの兄で思い出がたくさんあり、胸がいっぱい。兄も天国で喜んでいると思う」と話した。
三木さんは「今後、一般にも公開されることになると思うが、非常に有意義な資料になると思う」とあいさつ。