■小規模企業振興に重点
従業員が製造業・建設業など20人以下、商業・サービス業など5人以下の小規模・零細企業に特化して支援する小規模企業振興基本法と同支援法が去る6月の国会で可決・成立した。同法に基づき国は今後、5年間の「小規模企業振興基本計画」を策定。補助金や金融、税制などの各面から支援策を講じることになっており、同法の制定を求めてきた全国の商工会から「これでようやく小規模・零細業者にも光が差すか」との期待は当然のことだろう。
八重山もおおよそで石垣市商工会に1650事業所、竹富町商工会に340事業所、与那国町商工会に150事業所の計2140事業所が加入しているが、そのほとんどすべてが従業員20人以下の小規模・零細企業。それだけに「国は予算も付けて今まで以上にやらないといけないので法制定のメリットは大きい」(平田睦石垣市商工会事務局長)と歓迎している。
ただどんなに立派な法律でも生かさなければただの条文でしかない。小規模・零細業者は勉強会を開くなど、せっかくの新法を使い勝手の良い真に小規模企業に役立つ法律にしたい。
■地域経済支える小規模企業
中小企業庁によると、全国385万の中小企業のうち約9割を小規模企業が占め、それぞれの地域経済や雇用で大きな役割を果たしている。ところが一方で小規模企業は地域の人口減少、高齢化、競争の激化、地域経済の低迷などで売り上げの減少や経営の不安定を強いられ事業所数の減少、経営者の高齢化といった課題を抱えている。
それは離島の八重山も同様。そこで国と地方自治体が連携。それぞれの地域で懸命に頑張る小規模・零細企業の持続的発展を総合的・計画的に支援しようと新たに制定されたのが同基本法と商工会による支援法の一部改正案。
従来は中小企業基本法に小規模企業振興も包含されていたが、同法での国の施策は中規模企業に重点が置かれ、小規模企業は軽視されてきた。そこで民主党政権時代の「小規模企業未来会議」の論議を経て昨年、小規模企業に焦点を当てた「小規模企業活性化法」が成立し、今回これに従業員5人以下の小企業支援も加え、さらに進化した同基本法が制定された。
■新法をどう活用するか
同法は、基本原則を小規模企業の活力発揮の必要性が増大していることから、従業員5人以下の小企業者含む事業の持続的発展を図ることとし、そして今後具体的な施策体系を示す5年間の基本計画を策定し、国会に報告することを義務付けている。
その基本的施策は▽多様な需要に応じた商品・サービスの販路拡大、新事業展開の促進▽経営資源の有効な活用および適切な支援体制の整備|などだが、石垣市商工会では具体的に何をどうするか、今後3市町商工会で提案事項を取りまとめたい考えを示している。
特に離島八重山は燃料費のアップなど物流費が上がっているのでその点の支援策なども求めたい考えだ。
昨年3月以降新空港の開港特需で沸く八重山だが、さらにこの新法を生かし、小規模・零細企業が生き生きと輝く、より元気な八重山にしたい。