琉球泡盛の醸造で使う黒麹菌と、関連する食文化のユネスコ世界無形文化遺産登録に向けて、学者や泡盛関係者で組織する実行委員会がこのほど発足し、民間レベルの取り組みが始まっている▼世界遺産登録は、泡盛・黒麹菌研究の第一人者で東京農業大学名誉教授の小泉武夫氏が、5月末に県内で開催された泡盛マイスター協会創立10周年記念式典の講演の中で提唱した▼世界で唯一、黒麹菌を使った琉球泡盛とラフテー、豆腐よう、コーレーグースなど泡盛と関係が深い琉球独自の食文化を、県民を巻き込みながら昨年登録された「和食」に続き、世界の宝としての登録実現を目指すという取り組みだ▼泡盛は琉球の知恵と発想が生んだ蒸留酒。特に古酒は時を経るほど芳醇で、口中からのどにかけて独特のコクとうまみがゆったりと広がる。愛飲家にとっては、まさしく臓腑にしみわたる長い余韻は至福の味わいとなろう▼小泉氏は泡盛の価値を評価した上で「登録に向けては県民運動が一番重要。一人一人がこれに挑戦し泡盛文化を発信する。そういう強い気持ちがなければ世界遺産とはならない」と述べている▼世界遺産に登録されると、琉球文化の薫り泡盛と食文化が世界から認められ、知れ渡る。その時、「君知るや名酒あわもり」(坂口謹一郎)は世界の泡盛となる。(鬚川修)
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