幼少のころ見てときめき、中学高校と飛び入りしたことのある宮良のアンガマは、昔の野遊び、道の遊びのように誰もが奔放に踊り跳ねていたとの思いがある▼多彩に仮装した若者は、誰と特定できないことに意を強くして我先に立ち上がり、考え練った振り付けまたは即興で踊りまくった。面白い所作には、やんやの喝采が上がった▼地謡も負けじと声を張りあげ、古典だけでなく新民謡、演歌と多彩な注文を、これまた平気でこなしていた。タネーと呼ばれた名物兄は、何曲も踊り続けるので地謡がまいり、いいかげんにしろと演奏を中断され爆笑を誘っていた▼時は移り、近年のアンガマはファーマーの仮装の画一化だけでなく踊りも洗練された舞踊研究所仕込みの型どおりが占め、当意即妙の味わいが薄れた気がする。旧盆の伝統行事とはいえ闇夜の遊び、もっと肩の力を抜き、楽しんでもいいのではないか▼ただ一つ固持してほしいのが、アンガマは旧盆のこの時期だけに限るということ。本島のエイサーのようにいつでもどこでもでは、ありがたみに欠ける▼さて、前述の旧盆送り日の翌日行われる宮良のアンガマは、イタシィキバラ行事の一環で昔からウシュマイ、ンミー不在のファーマーのみ。今も飛び入りを見かけるが往時の威勢はもうない。(仲間清隆)
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