防衛や外交、治安に関する国の広範な情報を「特定秘密」に指定し、漏えい者に重罰を科す。国民の知る権利と発言の自由がふさがれ、物が言えない国になるとの警戒感が強い特定秘密保護法が、安倍政権で成立した▼マスコミや日本弁護士連合会、日本ペンクラブ、学者グループなど国民の懸念の声があるにもかかわらず参院本会議での強行採決。赤信号みんなで渡れば怖くない的に〝付和雷同〟した自民、公明両党の賛成多数で可決、成立させた▼安倍政権には〝民が主〟の民主主義が本当に分かっていないのではないか。国民の声にも心ここにあらず、民意をくんで民意に従う気持ちは少しも見えない▼秘密法には官僚が恣意(しい)的に秘密を指定する危険性が危惧される。秘密という名のもとに何が起こるか分からぬとの不安が、黒い雲のように国民の心におおいかぶさる▼冷たい政権が次に打ち出すのは何か。日米同盟強化と米軍と自衛隊の一体化推進。集団的自衛権の行使容認などの動きから、識者は憲法改正だと警戒する▼国家権力がどう変わろうとも政治家の声だけがその国の声ではない。民は政権を支えもするが不満ならひっくり返す。対話重視の時代に安倍政権がこれ以上、国民の声に向き合わずとなれば新しい内閣によって人心の一新を図るほかない。(鬚川修)
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