竹富町(川満栄長町長)が委託料や報酬支払いなどの際に所得税の源泉徴収を行わず、沖縄国税事務所から支払いを求められていることが9日、町議会12月定例会の質疑で判明した。町は過去5年にさかのぼって源泉所得税と加算税、延滞税を納付するため、総額838万円を補正予算案に盛り込んでいる。川満町長は「このような結果になってしまい、深く町民におわびしたい」と陳謝したが、異例の事態に町議からは町の責任を問う声が相次いだ。
源泉所得税は、法人を除く個人や事業者に対して報酬・委託費などの支払者(町)が所得税を差し引いて徴収し、国に納付するもの。
国税事務所の指摘では、2009年度以降87件で源泉徴収が行われておらず、町は源泉所得税738万円と加算税69万円、延滞税19万円を納税しなければならない。源泉所得税については報酬や委託費を受けた事業者から年度内に徴収するが、加算税と延滞税は町予算で捻出する。
川満町長は「町が(徴収義務を)怠ったため、町の財源から捻出して支払っていくことに理解をたまわりたい」と理解を求めたが、新田長男氏は「町税から出すのは納得できない。当局の不手際だと感じているのであれば、責任の所在をしっかりすべきだ。そうしないと町民に説明がつかない」と追及した。
川満町長は「各課長を含めてこの問題にどう対応するのか協議し、会期中に道筋を示したい」と述べ、13日の最終本会議までに対応を検討し、報告する考えを示した。
事業者から徴収するとした源泉所得税について町議は「確実に徴収できるのか」(嘉良直氏)、「徴収できなかった場合はどうするのか」(島仲秀憲氏)と疑問視、西原章啓総務課長は「年度内に徴収義務者として義務を果たせるように努力する」と答えた。
また、質疑の中で川満町長は「正しいという認識のもと事務処理を行ってきた。監査委員も気が付かなかった」と答弁したが、休憩中に監査委員の新博文氏から「監査の段階で気が付くはずがない」と指摘されたのを受け、再開後に発言を撤回、謝罪した。