ピッチャー大嶺祐太、キャッチャー友利真二郎、ファースト新垣哲平、セカンド羽地達洋、サード金城長靖、ショート東舟道大介、レフト新城永人、センター仲里拓臣、ライト奥平結―。守備につく選手の名前が呼ばれる。その姿を見てこみ上げるものがあった▼大嶺さんの引退試合にはかつての八重山商工高校野球部の同学年メンバーが勢ぞろい。当時、宿敵だった浦添商業のOBも駆けつけた。グラウンドにはかつてのライバルが純粋に野球を楽しむ姿があった▼試合は八商工が一回に満塁のピンチ。捕手の友利さんがマウンドに駆け寄りながら「監督、『死ね』という伝令はないですか」とちゃかす。これに伊志嶺吉盛さんが「いつまでたっても成長しないな、と言え」と笑い返す。何だか心温まるシーンだった▼プロでも引退試合を行える選手はごくわずか。「最後の雄姿を見せよう」と1学年後輩の下里斉さん(33)らが最後の花道を企画、準備してきた▼島外から訪れたという八商工と大嶺さんのファンも「こんなイベント、聞いたことがない」と感動していた。地元の年配者は「ぼーれー」と褒めたたえていた▼「石垣島で最後に投げられると思っていなかったので、すごく思い出に残るし、すごく楽しかった」。試合後に大嶺さんがあいさつをした。目は潤んでいた。(比嘉盛友)
↧