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国民の知る権利、報道の自由の危機

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■与党の数の暴挙

 国家機密の漏えいに罰則を設ける「特定秘密保護法案」が6日深夜、参院本会議で、自民、公明両党の賛成多数で可決、成立した。5日の参議院国家安全保障特別委員会の採決に続き、野党各党の強い反対を数で押し切った強行採決は「数の暴挙」だ。

 各種世論調査や国が実施した公聴会、パブリックコメントでも圧倒的に「反対」「慎重審議」の意見が多い中、十分な審議を尽くしたとは言い難く、審議を強引に打ち切り、会期内成立を強行した与党への批判は免れない。

 同法が成立したことで、指定された国家機密を漏らした公務員らに厳罰が科せられる。その秘密を強引に聞き出そうとした場合、マスコミや議員も含め処罰の対象となる。

 処罰を恐れ公務員が萎縮し、本来公開すべき情報を公表しないことも十分に考えられ、国民の「知る権利」、報道、取材の自由が著しく侵害される恐れがある。 

 

■適切な運用を

 同法は日本の安全保障に関する事項のうち「防衛」「外交」「スパイ活動防止」「テロ防止」の4分野の特に秘匿が必要な情報を国が特定秘密に指定し、その情報を漏らした公務員、それを何らかの手段を講じ強引に知ろうとした者に10年以下の懲役などの厳罰を科す。

 しかし、その特定秘密を定める規定があいまいで、国が都合の悪い情報を恣意(しい)的に指定することも可能。安倍首相は、同法運用に当たり、特定秘密の恣意(しい)的な運用を防ぐ仕組みとして有識者による「情報保全諮問会議」や、事務次官級で構成し、特定秘密の指定や解除などの状況を調べる「保全監視委員会」、特定秘密の指定の妥当性などを調査する「情報保全監察室」などを設け、チェックする方針を示した。

 だが、その人選は国が行うものであり、公平な立場で運用されるのか疑問が残る。それができないのであれば速やかに同法を改正し、運用を見直すべきだ。

 

■八重山にも特定秘密

 同法案は国民の知る権利を著しく侵害するものとして、各方面から反対の意見が上がり、国会周辺では反対のデモも起こった。沖縄県議会も5日の本会議で同法案について慎重審議を求める意見書を全会一致で可決。米軍基地を抱え、同法案と深く関わる沖縄県民の懸念の声を代弁した。

 では、八重山はどうなのか。現状で、特定秘密に該当する施設、機密が身近にない関係で住民の関心は薄い。

 だが、尖閣問題を含め、与那国島への自衛隊沿岸監視舞台配置が着々と進む中、特定秘密事項が身近に存在してくる可能性も否定できない。特定秘密の対象が、将来的に県、地方にまで範囲が拡大される可能性もある。

 さらに、同法を隠れみのに本来、公開されるべき情報が隠蔽(いんぺい)されることも予想され、住民は人ごととせず、常に同法に関心を持ち続け、その運用に対し監視の目を光らせることが必要だ。


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