新しいタイプのEV船(電気推進船)を観光船として実用化できないか調査する実証運航が来年5月の大型連休前にも石垣港を拠点に始まる見通しだ。県の補助事業を受けて民間企業が研究に取り組んでいるもの。EV船を年内に建造、年明けからテスト運航を開始した後、実際に客を乗せて実証運航を行いたいとしている。
バンダイナムコグループの㈱VIBE(本田耕一代表取締役社長、本社東京)が県内企業2社と共同で2012年度から進めているプロジェクトで、総事業費の約8割に当たる5億円余は県の亜熱帯・島嶼型エネルギー基盤技術研究事業の補助金。
化石燃料による海洋汚染などが懸念される離島地域で、自立型地域エネルギー基盤の確立を目指す。具体的には、EV船の建造や、大容量の蓄電が可能な陸上電源施設の整備を行ったうえで、地元業者に運航してもらう計画。蓄電施設は、台風などの災害時に、一時的に電力を供給することもできるという。
EV船は全長約20㍍、全幅約6㍍、19㌧の双胴船。船体にアルミ合金を使用することでリサイクルを可能とする。船底の一部には強化ガラスを使用し、グラスボートの役割を果たすという。
民間企業側は、実証運航に当たっては石垣市や関係団体とも調整した上で計画を策定する考え。実証運航を通して顧客ニーズや料金設定などを把握し、商業ベースに乗せることができるか具体的に調査する。同社によると、約5年間の運航を予定している。
洋上でのEV船は、川平湾でグラスボートを運航している㈱川平マリンサービス(高嶺良晴代表取締役社長)が市の補助を受けて導入しており、今回が全国2例目。同社は国の認可が下り次第、運航する予定という。