石垣市全戦没者追悼式・平和祈念式(石垣市主催)は23日午後3時半から、バンナ公園南口の八重守之塔で行われた。例年約300人が参列するが、ことしは昨年に引き続き新型コロナウイルス感染拡大防止のため案内した各団体の代表らのみが参加し、献花した。中山義隆市長は「本日、ここに参列できなかった市民とともに、全ての戦没者の御霊に哀悼の意をささげ、世界の恒久平和の実現に向けてまい進していく」と平和宣言を読み上げた。
式典には例年、各学校の代表を案内しているが、今回は昨年同様「平和を考える作文」中学生の部最優秀賞の加原生彩輝さん(石垣第二中3年)と高校生の部優秀賞の嘉那原夏乃さん(八重高2年)の2人が作文を朗読した。
加原さんは、市民を巻き込む苛烈な地上戦が行われた沖縄本島での戦争体験者や軍命により強制疎開させられ、マラリアにかかりながらも奇跡的に助かった祖母から聞いた話を交えながら戦争の恐ろしさや平和の尊さを訴えた。
嘉那原さんは、マラリア有病地帯へ軍の命令で強制避難させられた曽祖母の体験や過酷な戦地に行った曽祖父が心に負った傷が戦後もいやされることなく苦しみ続けたことなどを知り、未来永劫の平和が続くことを願った。
県遺族連合会八重山支部の喜友名盛允支部長は「人々が再び戦禍に見舞われることのない平和な世界の構築に尽力していきたい」と述べた。
県八重山事務所の曽根淳所長が玉城デニー知事の追悼の言葉を代読した後、各団体の代表が献花した。
式典後の自由焼香に訪れた八重山農林高校の伊礼郁さん(3年)は「高校を卒業すると平和学習の機会がなくなるが、平和祈念資料館なども活用して忘れないようにしていきたい」と話した。
式に先立ち、表千家不白流県支部八重山の会員が全戦没者に茶を供えた。