戦後76年を迎え県内では「慰霊の日」の23日、県主催の沖縄全戦没者追悼式をはじめ、石垣市、竹富町、与那国町主催の追悼式が各地で開かれ、多くの県民が戦没者に鎮魂の祈りをささげ、反戦、恒久平和を誓った▼例年、式には児童生徒を含め大勢の遺族や関係者、市民らが参列するが、緊急事態宣言が発令される中、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止を図るため、参列者を絞り、規模を縮小しての開催となった▼戦争体験者が年々減少する中、昨年、今年と続く新型コロナによる規模縮小が、沖縄戦を語り継ぐ機運に水を差すことになってはならない▼戦時中、八重山では1万6884人がマラリアに罹患(りかん)、3647人が命を落とした。体験者の中には、新型コロナがまん延する現状を、戦時下のマラリアと重ね合わせる人もいるという▼新型コロナも県内で感染者が2万人を超え、毎日100人近い感染者が出ている。医療環境が整っている現代だからこそ、亡くなる人は最小限に抑えられている。薬も無く、栄養、衛生、医療環境が今とは比べものにならない当時は、想像を絶する惨状だったに違いない▼市内では来月9日から64歳以下への新型コロナワクチン接種が始まり、8月19日には終える計画。来年の慰霊の日は通常開催できそうだ。(下野宏一)
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