平得大俣への陸上自衛隊配備計画に伴う駐屯地建設をめぐり、伐採などに伴い沖縄防衛局から提出のあった行為通知書に事前の現況調査で見つかっていなかったサキシマスオウノキなどが伐採樹木に記載されている問題で石垣市は21日、「行為通知書記載の樹木については(防衛局が)現地を実地調査し、適切に作成したものと考えている」との認識を示した。知念永一郎建設部長が長浜信夫氏の一般質問に答えた。
行為通知書には樹高約9㍍のサキシマスオウノキが約284本、樹高2~13㍍のアマミアラカシが約8812本あると記載されているが、同局が着工前に実施した現況調査の報告書(2019年3月)に両樹種の記載はない。植物に詳しい人たちもこれまで存在を確認していないとしている。
市は、景観法に基づく行為通知書を4月13日付で受理。同23日開催の景観形成審議会発言記録を添え、5月14日付で防衛局に協議を終了したと通知した。
知念部長は「その資料(現況調査結果)は本市に存在しないことから一致、不一致の確認はできない」としつつ、景観形成審議会は伐採に伴う植え替えなど代償措置が景観形成基準に定められた行為で妥当と判断したとして「市は審議会の意見を踏まえて協議終了とした」と答弁。景観審でも伐採について「特に質疑はなかった」とした。
長浜氏は「サキシマスオウノキ、アマミアラカシがあるとする根拠がない。審議会はやり直しが必要。市の協議終了も無効だ。防衛局からデタラメな資料を出されて良しとするのか。大きな問題だ。イージスアショアのデータ改ざんと同じ。皆さんも防衛局も再度調査すべきだ」と追及した。
一方、市教育委員会は、行為書の記載通り両樹の存在が確認された場合に天然記念物になる可能性を問われ、「文化財を所管する市教委としては今後の推移をみながら動きを検討したい」と述べた。長浜氏は「工事を中止して教育委員会も調査すべきだ」と要求した。