東京五輪・パラリンピック大会開催について、感染症・医療の専門家有志が「無観客開催が望ましい」と政府に提言した。入れるとしても政府が目指す1万人を下回るよう求めた▼分科会の尾身会長は「パンデミック下での五輪は、普通はない」と踏み込んでいたが、潮目が変わったのはG7。菅首相が各国首脳に開催を宣言し「国際公約」となってから。政治が五輪開催を既成事実化した▼加えて各国選手団の入国や、国内でも各競技の選手決定などが相次いで報道され、もはや後戻りできない雰囲気が醸成されてゆく。八重山でも新城幸也選手に続いて、西武の平良海馬投手が侍ジャパンの一員に選ばれた。こうした報道に接すれば、世界に羽ばたく島出身の若者の活躍に胸躍るのは当然だ▼でも有観客だと人流も接触も拡大する。対策を怠れば第5波の襲来は避けられそうにない。リスクを冒して有観客にこだわるのはなぜか。ただでさえ4万人を超す海外の関係者・役員らの水際対策は万全か▼開会式は2万人とする見通しという。「GoTo観戦(感染?)」に前進あるのみ、立ち止まれない。「直行直帰」に「常時マスク」など笑止▼五輪会場から最も遠い南島のわれら。家でテレビ観戦を決め込むことこそ命を守る手だて。国の威信に付き合ってなどいられない。(慶田盛伸)
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