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観光客、現水準か削減を 総量増が普遍的価値の脅威に

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IUCNは西表島のオーバーツーリズムを懸念。観光入域客をコントロールする具体的な総量規制対策が求められている=10日、西表島ピナイサーラの滝

 日本政府が世界自然遺産登録に向け推薦した「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」に対する国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会の諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)の評価報告が4日、ユネスコ世界遺産センターのホームページで公開された。JTEF西表島支部やまねこパトロールは、島に入る観光客数をコントロールするため主な対策案として打ち出された「混雑日カレンダー」について「十分とは言い難い」とし、「具体的な総量規制対策に取り組む必要がある」と指摘している。

 IUCNは、年間33万人、1日最大1230人を上限とする入域者の目標値を盛り込み策定した「持続可能な西表島のための来訪者管理基本計画」は不十分との認識を示している。観光による影響評価が観光管理計画に組み込まれるまでは、西表島への入域客数を増加させない、または削減を要請。

 やまパトの高山雄介事務局長は、IUCNが2017年の第1次推薦に対し評価を行った時から西表島のオーバーツーリズムに懸念を示し、今回の第2次推薦でもその対策を繰り返し求める形になった、としている。

 島全体への観光入域客の総量規制が、県が主体となり策定した同基本計画に不安を感じ、「現状では総量規制ではなく、混雑カレンダーで比較的空いている時期に来訪者の分散のみが予定されているに過ぎない」と実効性に疑念を抱く。

 さらにIUCNは、年間35万2000人が訪れている西表島は、住民1人当たり観光入域客が150人という割合を「脅威」とし、イリオモテヤマネコなど野生生物のロードキル、外来生物の島内侵入、危機にひんする種の密猟や盗掘が増える可能性を問題視。推薦資産の顕著な普遍的価値への脅威に懸念があることに留意し、必要であれば順応的な管理と追加行動をとり、対策の有効性を注意深く定期的に評価するよう示した。

 また、依然として西表島内で遺産登録へ反対している住民がいると認識し、国・県・竹富町・関係機関が引き続き地域社会と関わりながら支援を行い、提起された課題に耳を傾け対応することに注文をつけた。


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