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「生き物持ち出さないで」 遺伝子かく乱招く

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自然観察会で、講師の渡辺賢一氏(右)から説明を受ける参加者たち=18日午前、於茂登岳

 

 県天然記念物に指定されているアサヒナキマダラセセリの採集禁止を呼びかけるパトロールが於茂登岳で4月29日から始まっている。天然記念物の採集禁止は最近では周知が図られつつあるが、その一方で「天然記念物でなければ、採っても構わない」という考え方もあるようだ。環境省希少野生動植物種保存推進員などを務める渡辺賢一さん(63)は固有の遺伝子のかく乱に懸念を示し、「天然記念物以外でも、島内にすむ生き物は島外に持ち出さないで」と訴える。

 

 渡辺さんは2012年、於茂登岳周辺で男性がキノボリトカゲやヤエヤママルヤスデなどを採集しているところを目撃。男性は大阪にあるペットショップのスタッフで、「天然記念物以外は採っても良いですよね。ヤエヤママルヤスデは足の動きを癒やしと感じる若いOLに人気」などと話したという。

 これに渡辺さんは「島のDNA(デオキシリボ核酸)が持ち出されてほかの地域で交雑し、迷惑をかけることもある」と話すが、持ち出しを規制する法令などはなく、歯がゆい思いをしている。

 アサヒナキマダラセセリは1980年代から2005年ごろまでは、列ができるほど採集者がいたが、パトロールの実施で現在はほとんど確認されていない。渡辺さんは「(アサヒナキマダラセセリの採集禁止は)ある程度周知されてきたように思う」と効果を感じている。

 一方、他の生物についてはネット上で売買されるケースなどもあり、「外来種の問題や持ち出しなどの面で日本はルーズ。固有のDNAを持ち出さないでほしいし、ましてや売り飛ばさないで」と呼びかけている。

 

■於茂登岳の生き物観察 市教委

 参加者「貴重な体験」

 天然記念物や希少動物の保護意識を高めようと、石垣市教育委員会は18日、於茂登岳で自然観察会を開いた。市民17人が参加し、山頂ではアサヒナキマダラセセリを観察した。

 参加者は島村賢正(市文化財審議会委員)、渡辺賢一(元県立高校教諭)、田窪亮三(元大阪府立高校教諭)の3氏から野鳥や昆虫などについて説明を受けた。

 登野城から参加した50代の女性は「普段登ることのない於茂登岳でアサヒナキマダラセセリを見ることができ、貴重な体験ができて良かった」と話した。

 


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