バニラの栽培や開花調査などに取り組んでいる八重山農林高校アグリリサーチ部(加藤亮部長、部員6人)がこのほど、バニラの香り付け(キュアリング)に家庭用ヒーターやこたつを使う方法を考案した。同部はこの方法によるバニラビーンズを使った商品開発にも民間企業と共同で取り組むことにしている。(松井弥恵子記者)
キュアリングは、70度で湯せんしたバニラの温度を一定に保ち、乾燥と発酵を繰り返して独特の甘い香りを生み出す方法。通常は高価なインキュベーターを使っているが、同部はコストのかからない方法を模索。
家庭用ヒーターや電気こたつの発熱部分を中に入れた木箱のような装置を製作し、実験を重ねてキュアリングに成功した。
この装置を使ったバニラビーンズを使用してアイスクリームも試作。同部顧問の渡真利学教諭によると、焼き菓子だと香りが弱くなるため、アイスクリームやババロアなどの冷菓を民間企業と共同で商品化することを考えているという。
加藤部長は15日の校内農業クラブ大会で「バニラの6次産業化を目指して」をテーマに意見発表。県農業研究会でバニラの交配からキュアリングまでの流れを発表した際、大学教授や研究者などから質問や助言を受けたといい、「バニラは注目されており、需要がある。産業になりうる作物でもあるので、この技術が生かされればと思う」と話した。