32年間、幾多の選手が挑み誰一人として塗り替えることができなかった八重山地区高校陸上競技選手権大会女子100㍍の大会記録の「12秒7」。1983年に八重高の大盛まち子(48、現在・大城)が樹立した記録が、ついに破られた。成し遂げたのは大城貴来(おおぎ・たから、八重高2年)。10日に行われた第51回大会で向かい風1・9㍍の悪条件の中、12秒6をマークした。(渡嘉敷信晃記者)
貴来は中学まで100㍍が専門。高校では200、400㍍に取り組んでいるが、今回は中学3年以来となる100㍍でどこまでできるか試そうと出場した。悪条件でのレースに貴来は「無心」で挑戦。「最初は自己ベストが出てうれしかった。後から(大会新を)聞いて、ただただびっくりした」と、記録更新を素直に喜んだ。
当面の目標は、6月の県総体200、400㍍で6位入賞を果たし、南九州大会で自己新を出すこと。「今の自分を越えられるように練習を重ねたい」とさらなる高みに決意をみせた。
前記録保持者のまち子さんは現在、県立向陽高校の体育教師。本紙の取材で自身の記録が破られたことを知り、「素晴らしい。しかも母校の後輩が破ってくれたことがうれしい」と声を弾ませ、「今後が楽しみ」と後輩の成長を期待した。
自身の記録については「八重山にも実力がある子はたくさんいたが、好機を逃したりタイミングが合わず、たまたま残っていた記録。ずっと早く破ってほしいと思っていた」と謙遜した。
同校陸上部の小川清乃監督は「体のコンディショニングに悩んでいたが、小、中学時代から比べると体も心も頭も柔軟性が増し、練習に素直に取り組んできた成果」と評価。
記録更新には「天候や選手の気持ちなどあらゆる条件がそろわないと新記録は出ない。そのタイミングが今年だったんだろう。貴重な歴史的瞬間に携われて感慨深い」と語った。
83年の新記録は土のトラックで樹立された。