■きょう67回目の憲法記念日
大型連休真っ盛りのきょう3日は、戦後日本の平和を支えてきた67回目の「憲法記念日」だ。その憲法が今年はかつてない危機にある。それは身内からもその危うさが指摘されているタカ派の安倍政権によって、これまでの政権が一貫して禁じてきた外国での戦争行為が認められる自衛隊の集団的自衛権行使が、憲法9条の解釈変更で容認される可能性が高まっているからだ。 同自衛権が認められると、自衛隊はこれまで自国が攻撃を受けた場合の専守防衛だけでなく、米国など密接な関係のある国が攻撃された場合一緒に反撃が可能となり、事実上政府判断によっていつでも自衛隊を海外に派兵し、他国の戦争に加担できることになる。
となるとこれは以前にも指摘したように八重山出身の自衛隊員も、他の隊員と同様他国を守るために命の危険にさらされる戦場に駆り出され、その結果若者の入隊希望者が減り、将来はかつての「徴兵制」も否定できない。
■集団的自衛権で徴兵制
このことは戦後日本が、憲法9条のもと専守防衛の基本原則で積み上げてきた平和主義を否定する安保政策の重大な転換となるものであり、現在も国連平和維持活動(PKO)などで形骸化が進む9条の理念をさらに骨抜きにするものだ。
しかもそれは国民の過半数、国会議員の3分の2以上の同意を得る憲法改正でなく、単なる一内閣の閣議で決まるというのは立憲主義を否定するまさに安倍内閣の暴走というものだ。
集団的自衛権行使に対しては、国民の間でも警戒感が強く、先月の朝日新聞世論調査は63%が「現行の行使できない」を支持し、安倍内閣・自民支持層も半数以上が容認に否定的という。
そのため安倍政権も、「自衛隊の行動は他国の領土・領海・領空では原則として認めず、日本の領域や領海に限る」と一転、まやかしの限定容認論で世論に取り入り、なお強硬姿勢だ。
一方で右傾化も急速に進み、全国の9条の会など護憲勢力は、安倍政権の暴走をどう止めるか正念場にある。
■9条がノーベル平和賞候補に
こうした危機の中ノルウェーのノーベル賞委員会から先月9日、「憲法9条を2014年のノーベル平和賞候補に受理した」との通知が同運動を進める市民団体に届き、署名に奔走したメンバーらを喜ばせている。世界278の候補から10月に選考結果が決まる。ぜひ戦後70年一度も戦争のない日本の奇跡の歩みを世界にアピールしたい。
今年2月、54歳の誕生日を迎えた皇太子さまも「今日の日本は、憲法を基礎に築き上げられ、平和と繁栄を享受している」と天皇陛下同様その役割を評価、今後も順守の必要性を語った。
まさにその通りで大戦で犠牲になった310万人の命と引き換えに日本国民が手にした世界に冠たる不滅の大典を、首相自らが愚かにも否定し改正すべきでない。そして武器輸出三原則を撤廃して死の商人になるのでなく、この世界に誇る戦争放棄の憲法9条の精神を世界に輸出することこそが、安倍首相が言う「積極的平和主義」として世界から評価されることになる。
経済政策に気を取られて国の本質が歪(ゆが)められてはならない。