【那覇】県農林水産部(山城毅部長)は22日、県の戦略品目のサヤインゲンについて、わい性節間伸長処理栽培の増収技術が確立し、県内で本島南部地区を中心に62戸の農家が生産拡大に取り組んでいると発表した。
新技術では10㌃当たり収量が従来の3倍余の3㌧以上が見込まれる。今後、県内農家(529戸・2010年統計)への新技術の普及で産地としての生産性向上が期待されている。
増収技術はサヤインゲンの幼苗期に植物ホルモンのジベレリンを2回散布し、節間を伸ばして採光性を改善することで、効果が不安定だった従来の1回散布と比較して、収量が20%増加の安定した増収効果が得られる。
県では「全国から沖縄のサヤインゲンがほしい」との要望も多いことから、県内農家へ新技術の普及定着を図ることで、今後の生産拡大につなげたいとしている。
県内のこれまでのサヤインゲン栽培は、つる性品種を用いた平張り施設などでの露地栽培が主体だった。これだと10㌃当たりの収量が1㌧、新技術で栽培すると3㌧以上の収量が見込まれる。
サヤインゲンは冬春期における県外出荷の主力品目で、市場からは出荷量の増加が強く望まれている。
だが、生産量は1990年の4500㌧をピークに、農家の高齢化や収穫時期に大きな労力と時間が必要とされることから減少傾向にあり、市場価格が下落した2012年産は1960㌧に落ち込んだ。