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自衛隊支配の島になるのか

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■住民の反対無視し強行

 防衛省は19日、小野寺五典防衛相らも出席し与那国で陸上自衛隊沿岸監視部隊配備に向けた施設建設工事の起工式を行った。同問題では住民同士が対立する火種は小さな島に持ち込むべきではないと5、6年前に町が誘致要請した当初から防衛省や町側に強く求めてきたが、住民の反対や当日の阻止行動も無視して見切り発車で強行した。

 これにより自衛隊は、多くの郡民の予想を超えて八重山の離島にまで配備され、日本最西端の国境の町は、いよいよ16年3月までの配備に向けて工事が動きだす。同時にこれは石垣市や宮古島への自衛隊配備拡大の布石となるものだ。石垣市民も人ごとではない。

 ここで不思議なのは、なぜ県が広大な米軍基地を日米両政府から押し付けられた上でなおかつ、このように離島にまで自衛隊配備を認めるなど沖縄を基地だらけにして“軍事要塞(ようさい)化”するのを容認するのかということだ。

 悲惨な沖縄戦で20万人余の犠牲者を出した沖縄は、原爆投下の広島や長崎も同様、戦争に結び付く基地問題にはどの都道府県よりもアレルギーが強く“特別な思い”がある。それが今の辺野古に続く戦後の長い反基地運動だ。それは八重山も同様で、沖縄にこれ以上の基地負担を許すべきでない。

 

■反対運動継続へ

 与那国への自衛隊配備は、陸自側の組織防衛への実績づくりと、選挙で与那国防衛協会の支持を取り付け、さらに町の最重要課題である過疎対策や産業振興など地域活性化に結果を出せない失政の付けを自衛隊にすり替える町長の思惑が合致した結果といえる。

 そのために防衛省側は駐屯地建設予定地の損失補償も、当初の2倍以上の2億4000万円に引き上げるなど、税金の使い方に問題ありの配備のためにはなりふり構わずの強硬姿勢だ。

 起工式で激しい阻止行動を行った与那国改革会議など反対住民は、今後も住民投票や町長リコールなどを視野に反対運動を継続するという。実際に工事が進む中どう運動を展開するのか。

 

■対立で活性化望めるか

 外間町長や誘致派が言うように、確かに自衛隊施設や関連施設工事でその期間一時的に島はうるおい活性化するだろう。しかしその中身は自衛隊利権を狙った少数の誘致派を中心にしたいびつなものとなり、果たして自衛隊の恩典が町民全体に行き渡るかどうか。

 さらに人口増となる150人の隊員とその家族の影響力は、一方で1500人の過疎の島では町長選や議員選を左右するなど大きく、町長が言う「自衛隊と共存」どころか、むしろ「自衛隊に支配される島」になりかねない。

 しかも配備計画は隊員数などくるくる変わり、そのうちミサイルも配備されるのではなどの疑念も解けない。

 住民一丸でも難しい島の自立が、禍根を残す形で起工式は強行された。このように反対住民を排除し近隣諸国も刺激して得た自衛隊による地域活性化を町長はじめ誘致派の皆さんは、それをよしとして喜べるものだろうか。

 対立からは真の島の豊かさや活性化は望めない。自衛隊が配備されて様変わりする島に嫌気を感じ、むしろ島を離れる人が相次ぐことを懸念する。


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