デイゴの花開く時期は、あらゆる生物の産卵期。ミーバイやクチナジなどよく釣れる。クロマグロ漁もシーズンに入るころだ▼一度見ると忘れられないのがウミガメの産卵だろう。今年はまだ八重山での報告例はないが、本島北部や屋久島で産卵が確認されており、6~7月をピークに10月ごろまで産卵期を迎える▼八重山ではアカウミガメ、アオウミガメ、タイマイの種類順で産卵するのが一般的。以前はアカウミガメの上陸産卵が最も多かったが、近年はアオウミガメが主流らしい▼研究者によるとアオウミガメは目撃例も増え、生息頭数そのものが増加傾向にあるという。その理由は食用、はく製用として捕らなくなったため。かつてウミガメのはく製は、新築祝いの贈りものとして重宝された▼ウミガメは明かりを嫌うと言われるが、読谷村の米軍基地内の海浜での産卵例もあり、車のライトなど動く明かりを特に警戒するという話もある。さらに産卵の上陸を妨げるのがハブクラゲなどの防止ネットらしい▼産卵期を迎え、気をつけなければならないのが海浜への車の進入だ。夏場のレジャーシーズンは、浜に四輪駆動車を乗り付ける光景をよく見る。卵からふ化した稚ガメが、車のわだちで海にたどり着けなくなるケースも。人が数十㍍歩くだけで、生物の環境もがらりと変わる。(黒島安隆)
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