日台漁業取り決めで、石垣島北方の三角水域内の一部で日本と台湾の双方の漁業者が、投げ縄と揚げ縄の時間をずらして操業することで合意した「マグロはえ縄漁の操業ルール」が今月から適用された。八重山漁協のマグロはえ縄漁船2隻が17日、同水域付近で操業。このうち第一海幸丸(田中博幸船長)は、自船のはえ縄が台湾漁船のはえ縄と絡まり、約6時間対処に追われた。大きなトラブルはなかったが田中船長(47)は「3隻の台湾漁船がすぐ近くで漁をしていて自分のはえ縄が切られないかと心配だった」と不安を訴えていた。
確認されたルールでは、台湾と日本の双方で投げ縄と揚げ縄の時間と縄を入れる場所のすみ分けを行う。
台湾漁船は午前0時から投げ縄を行い、午前7時から8時の間に揚げ縄を始める。日本漁船は午前7時から8時の間にはえ縄を入れ、午後2時から揚げるなど双方で操業の時間を設定した。
八重山漁協市場販売課の与那嶺幸広課長は「日台漁業取り決めで漁場が狭まり、漁師の選択肢がなくなった」と話す。
田中船長は「(漁業取り決めは)国同士が決めたが、台湾漁船がどんな行動を取るのか分からない。漁の制限は漁獲量の低下につながる。地元漁業者が被害を受けていることを分かってほしい」と実情を訴えた。
この日、クロマグロを水揚げした日野洋平船長(35)は「国はもっと現場の声を聞いてほしい。(漁業取り決めを)白紙撤回し、自分たちの漁場を取り戻したい」と力を込めた。地元漁師からは豊富な漁場へのルール化で漁が制限され、漁獲量低下の不安と国への不満を押し殺しながら出漁している。
日台漁業取り決めをめぐっては、1月24日の第3回日台漁業委員会でマグロはえ縄漁の操業ルールに合意。今月から適用が開始された。
マグロはえ縄漁は、八重山が16日、台湾側が20日から始まり、ともに7月まで続く。