石垣島北部地区で行われている掘削調査で、明和の大津波によるものとみられる地割れの真下に、それ以前の津波で運ばれたとみられる石が見つかった。真下の石にはカキの殻が付着しており、掘削調査を行っている静岡大学理学部と同大学防災総合センターの研究グループではカキの殻のサンプルを持ち帰って年代などを詳しく調べることにしている。明和の大津波の痕跡とそれ以前の津波の痕跡が一つの断面で確認できれば、明和の大津波以前の津波に関する研究に大きな成果をもたらすことになりそうだ。
掘削調査は18日から20日まで行い、深さ約2㍍の溝を3本掘り、津波の堆積物などを調べた。
明和の大津波によるものとみられる地割れとそれ以前の津波で運ばれたとみられる石が見つかったのは長さ約140㍍の溝。石は、露出している部分だけを見ると、直径約2㍍。地割れは、3本の溝で合わせて3、4カ所で確認できたという。
同センターの北村晃寿教授は「調査によって地層の年代や津波がどこまで遡上(そじょう)したかが分かる。堆積している海岸の砂などを調べることで、より精度の高い結果が得られる」と研究の意義を説明している。
安藤雅孝客員教授は「今回見つかった石はおそらく約2000年前の津波で運ばれてきたものではないか。地割れも見つかり、明和の大津波時にはここも結構揺れたと思われる」との見方を示した。
同センターは昨年11月、琉球大学理学部や台湾の中央研究院と共同で同様の調査を実施。
安藤客員教授は「これだけ長い距離を掘らせてもらえるのは通常は考えられない。本当にありがたい」と述べ、地元側の協力によって今回の調査結果が得られたことを強調。同牧場の借地人の男性(52)は「牧場を借りている間は協力していきたい」と話した。