数年前、友人が米国へ行くと張り切っていた。聞けば「バイクを買ってくる」とか。青春時代に憧れつつも、当時バイクは高価で、高嶺の花。数十年かけてへそくりをためていたらしい▼最終的に心を満たす「旧車」に出合えなかったようだが、観光を一切せず、ひたすらバイクを探し回ったという。友人は千円亭主を標ぼう、都会で涙ぐましい生活をしていただけに、その話は感動的だった▼最近、インターネットで70~80年代の国産絶版バイクを取り扱う沖縄の専門店広告が目に付く。かつての沖縄では考えられなかったことだ。離島県は輸送料がネックであり、当然、市場も県内に限られている▼ところが趣味の世界になると、商品がいかに良好なコンディションを保っているかが最大のポイント。送料は、マニアにとって選択順位でそう高くない。しかも沖縄は観光地であり、比較的安く行ける▼これは離島でも目的を絞れば十分にビジネスになる、という例だろう。人通りが少ない、駐車場がないために不利だという話をよく聞く▼だが趣味・嗜好(しこう)はさまざまだ。目的があると、人は相当な時間をかけても店を探し訪れる。その点で離島のハンディは少ない。要は、いかに魅力的で付加価値のある商品を提供するかだろう。(黒島安隆)
数年前、友人が米国へ行くと張り切っていた…
「ぶんじ」が県大会B級制覇 春季軟式野球中央大会
第127回春季軟式野球中央大会(主催・沖縄県野球連盟、沖縄タイムス社)のB級の部は13日、準決勝、決勝を東風平運動公園野球場で行い、八重山代表の「ゆんたく居酒屋ぶんじ」が決勝で中部南代表のテンポンドジャパンを4-1で下し、優勝した。県制覇を果たした「ぶんじ」は、5月16-19日まで和歌山県で開催される第36回西日本軟式野球大会1部に出場する。八重山勢が県代表になるのは、2001年の夏季大会で優勝した石垣市消防野球クラブ(C級)が第45回全日本軟式野球大会に派遣されて以来13年ぶり。
「ぶんじ」は準決勝で北部地区代表の久志ベースボールクラブと対戦。中盤までに7点を奪い、試合を決めた。
決勝戦では、初回に先制すると、四回に4番玉城啓一の適時三塁打などで3点追加した。先発の大城政十投手が相手打線を1点に抑えた。
「ぶんじ」からは殊勲賞に大城政十、打撃賞1位に打率6割の當山喜之、同2位に4割2分9厘の玉城啓一が選ばれた。
【準決勝】
久志ベースボールクラブ(北)
000 002 000-2
120 130 00×-7
ゆんたく居酒屋ぶんじ(八)
(久)大城龍、島袋-池宮
(ゆ)大城、奥平-川平
▽二塁打=大城章、池宮、島袋(以上久)、玉城(ゆ)
【決勝】
ゆんたく居酒屋ぶんじ(八)
100 300 000-4
000 100 000-1
テンポンドジャパン(中部南)
(ゆ)大城-川平
(テ)喜納、仲本-山内健
▽三塁打=玉城(ゆ)
▽二塁打=新川(テ)
石垣らしい水族館を 海洋ゼミで戸田氏講演
第2回石垣市海洋ゼミナールが14日夜、市健康福祉センター視聴覚室で開かれ、「八重山に水族館ができたら」をテーマに美ら海水族館を運営する沖縄美ら島財団総合研究センター主任技師の戸田実氏が講演し、「美ら海とは違う水族館を」とアドバイスした。
2011年国営沖縄記念公園事業評価監視委員会審議資料によると、美ら海水族館は入館者272万人、入園者339万人で北部地域での観光消費額が873億円、県全域への経済波及効果は1249億円に達している。
講演で戸田氏は「美ら海水族館は那覇市内から片道2時間、観賞2時間、食事などを含めるとほぼ8時間ほどかかる。本当はふたを開けるまで心配だったが、雨天時には大勢の来館者がいる。荒天時の観光施設としても非常に重要な役割を果たしている。石垣市に水族館を造る場合、美ら海とは異なる水族館が必要」とアドバイスした。
受講生からは「あえて水族館を造るより、海に飛び込んで見るのが一番良い」「マングローブや干潟を水族館で再現できないか」などの意見が出た。
熊本で鳥インフル発生 家保が警戒強める
熊本県多良木町の農場で飼育していた鶏から鳥インフルエンザが確認されたのを受け、八重山家畜保健衛生所(多嘉良功所長)は14日、500羽以上を飼養する6戸の養鶏場で立ち入り検査、100羽以上の養鶏場11カ所でリーフレット配布を実施するなど、情報提供を行った。多嘉良所長は「早急に関係機関との連絡会議を開き、情報の共有化を図りたい」と話し、警戒を強めていく考えを示した。
県は同日午前、緊急対策会議を県庁で開き、4段階の警戒水準のうち、関係機関と養鶏農家に対し情報提供の強化と発生時の迅速な報告態勢を構築するレベル「フェーズ2」を発令した。
会議に出席した多嘉良所長によると、飼育数の多い養鶏場に対しては、異常があるかないかの確認と防鳥ネットの設置、農場内の消毒を徹底していくことを確認した。
八重山家保によると、昨年12月末現在、郡内の養鶏場は53戸で4万9164羽(石垣市4万8540羽、竹富町489羽、与那国町135羽)が飼育されている。
多嘉良所長は「管内の養鶏場では毎月1回、検査を行っているので問題はない。今回の鳥インフルは鳥から人に感染する可能性はなく、八重山の鶏肉や鶏卵への影響はないので安心してほしい」と呼びかけている。
日赤社資が大幅減 13年度実績431万円
2014年度日本赤十字社県支部の八重山地区分区長会議が14日午前、市内ホテルで開かれ、八重山地区の目標額を前年同額の740万円とすることを確認した。13年度実績は431万円で、達成率58.3%と目標を大幅に下回った。
13年度事業実績報告によると、3市町別では竹富町が目標額61万円に対して実績66万円で目標額を7.7%上回ったが、石垣市が654万円に対し357万円(達成率54.6%)、与那国町が24万円に対して7万円(32.7%)と大きく下回った。
会議で比嘉幹郎副支部長が「5月から赤十字社員増強運動が全国一斉に実施される。この運動は国内外で助けを必要とする人々に救いの手を差し伸べるため、活動を支える社員の増強と県民の理解、支援をお願いしたい」と要望した。
石垣市地区長の中山義隆市長は「行政の立場としても災害時の備えをしっかりするとともに、献血の目標達成を含めて日赤の活動をバックアップしていきたい」と述べた。
川平湾観光にEV船 環境に優しく静か
国の名勝に指定され、西表石垣国立公園にも編入されているミシュラン・グリーンガイド・ジャポンの三ツ星観光地、川平湾に14日、電気を動力源とした電気動力船(EV船)のグラスボート(4.8㌧、定員22人)がお目見えした。石垣市の補助を受け、㈱川平マリンサービス(高嶺良晴代表取締役社長)が建造したもので、海上で商業用に導入されるのは全国初。4月下旬ごろの運航を予定しており、排ガスを出さない自然環境に優しいグラスボートとして注目されそうだ。
石垣市が、エコアイランド構想に基づき、川平地区をモデル地区として一括交付金を活用。公募で同社を選定、600万円を補助した。同社によると、EV船建造に約3000万円を要した。
湾内では同社を含む3業者が計13隻でグラスボート事業を展開しているが、EV船の普及には莫大(ばくだい)な初期投資費用が課題。同社の高嶺社長は「エンジン部分だけの取り換えを今後、検討したい。それでも2000万円ほどかかる」と話した。
高嶺社長によると、エージェントからはすでに「客を送りたい」とのオファーが寄せられており、環境に配慮したグラスボートとして差別化が期待できる。さらにEV船は静かで快適。前進、後進する際のクラッチ音がないため、魚も逃げないというメリットも。今後、運行形態を検討した上で今月中には営業を開始する予定だ。
EV船は東京海洋大学が開発し、民間企業が製品化。リチウムイオン電池を動力源とし、約3時間の充電で30分コース6回の運航ができるという。市は2014年度に急速充電器を整備する予定で、これだと15—30分で充電が可能となる。
14日は就航セレモニーがあり、高嶺氏はあいさつで「自然を大事にし、川平湾を環境に優しい観光地にしていきたい」と抱負を述べ、中山義隆市長、東京海洋大学の大出剛客員教授が普及に期待した。関係者がテープカットを行った後、試乗も行った。
死傷者ないのが何より
▽…ユーグレナモールが煙で充満するほどの火災が15日あった。ものすごい黒煙に竹富町役場には竹富島の住民から「石垣島で煙が上がってるけど…」と問い合わせもあったという。出火元の民宿経営の男性が煙を吸って八重山病院に搬送され、手当てを受けているが、宿泊客や近隣住民に死傷者がなかったことが不幸中の幸いだった。
▽…石垣市が募集している総務省の過疎集落等自立再生対策事業は、事業費が1000万円を上限に全額国から交付されるという魅力的な内容だ。沖縄の全市町村が対象で、事業主体は住民団体やNPOなど。県から文書が届いた10日から募集を開始しているが、申込期限は21日に迫っており、もう少し余裕をもって周知できなかったのかと悔やまれる。
▽…米軍3飛行士慰霊コンサートが同慰霊碑前で行われ、期成会関係者は「これまでほそぼそと供養をしてきたが、生演奏に感謝したい。石垣島事件が表に出たということは意義深い」と振り返る。他の関係者は「戦争の悲劇を知り、伝えることが大切。日の当たらなかった歴史を多くの人が見つめてほしい」と訴えた。沖縄戦の悲劇を学ぶきっかけは案外、身近な所にある。
嘉手納町にある沖縄防衛局の一室。対面して…
嘉手納町にある沖縄防衛局の一室。対面して着席する防衛局幹部を前に、陸上自衛隊配備計画の撤回を求める地元住民の「与那国島は今、住民だけでなく、家族も分断されて悲しい状況なんですよ」という切実な声が響いた▼日本最西端の自然豊かな島に、陸上自衛隊沿岸監視部隊を2015年度末までに配備する計画をめぐり、人口1500人の島民が対立。それでも政府は、19日に小野寺五典防衛大臣が出席しての着工式典を予定している▼配備計画が浮上しての5年間。楽しいはずの運動会や学芸会、思い出の入学式と卒業式などで島の生活の空気は厳しい状況だという。与那国島の現状は、かって新石垣空港の建設をめぐって白保の住民が対立した悲しい構図と重なる▼配備撤回を求めた住民は「レーダー基地の建設場所さえ知らない住民がまだいる」「町は何ら説明ができておらず不十分」などと強調し、説明責任を果たさない国の対応に不満をぶつけた▼「当初は分屯地だった計画が、いつのまにか駐屯地になり人員も3倍の150人に増えた」「ほかの組織が入るのではないか。貯蔵施設とあるのは弾薬庫ではないのか」という懸念の声もある▼国家の一大プロジェクトが住民を分断しているのは紛れもない事実。政府には住民と向き合う誠実な対応が求められている。(鬚川修)
「子どもの貧困」に目を
■日本は6人に1人が貧困
新学期がスタートし、学校は子どもたちの歓声がこだましている。その学校で今、子どもたちの貧困が深刻化しているという。OECD(経済協力開発機構)によると、日本の子どもの貧困率は2009年で15・7%までアップし、国民の多くが意外に思うだろうが、6人に1人が貧困状態にあるという。それは先進35カ国中9番目に高く、非正規雇用の格差社会の中で今後さらに増える状況にあるという。
また、先月28日に文科省が発表した昨年の全国公立小中学校の学力テストをもとに初めて実施した、全国4万人の保護者アンケートによると、親が高収入・高学歴なほど子どもの成績も高学力で、低収入の家庭の児童生徒と正答率に大きな差があることが分かった。
いわば子どもの知らない、子どもたちに全く責任のないところで貧困も学力も決まり、その所得格差が教育格差になって、子どもたちは成長してもいい仕事に就けず、「貧困の連鎖」でますます「格差社会」に拍車をかけているというのが現状だ。
■新法制定、国が支援へ
そのため国も昨年6月、「子どもの貧困対策推進に関する法律」が与野党共同提出で可決成立。同法が今年1月施行されたのを受けて去る4日、第1回子どもの貧困対策会議を開き、7月までに大綱案を作成、子どもの貧困対策に本格的に踏み出すことになった。
実はこの子どもの貧困対策については、4年前の11年10月、本島で「沖縄の子どもを貧困から守る連絡協議会」が発足した際にも、「八重山3市町も実態調査し適切な支援策を」と取り上げた。それが今回、国の段階で対策法が制定され、救済対策に踏み出したのは大きな前進といえる。
そこであらためて子どもの貧困はというと、所得が標準の半分以下の普通の生活ができない世帯の18歳未満の子どもを指す。たとえば4人世帯なら年収が約250万円以下、2人世帯なら175万円以下の子どものことだ。
■3市町も支援対策を
八重山も多くの人が「ほんとうに6人に1人が貧乏なのか、周りにそんな子はいない」と違和感を示すだろう。 確かにテレビで見るぼろぼろの洋服でパンを万引したりというような、いかにも貧乏な子どもは一見なかなか見当たらない。しかし親がリストラに遭ったり、離婚したり、病気で仕事ができないなどで急に貧困状態に陥り、その結果給食費が払えない、保険料が払えず無保険のため病院に通えない、修学旅行に行けないなどの子どもが全国的に確実に増えているというのだ。
そこで「子どもの将来がこのように生まれ育った環境に左右されないよう、さらに貧困が世代を超えて連鎖しないよう必要な環境整備、教育の機会均等を図る必要がある」として制定されたのが子どもの貧困対策推進法だ。
国は早速、本年度から高校生を対象に返済不要の奨学金制度のほか、ひとり親世帯・生活困窮世帯への相談支援・就労支援・子どもの学習支援などに乗り出している。今は全く関心の薄い八重山3市町も離島はもっと厳しい状況にあるはずだし、ぜひ実態を調べ適切な支援対策を講じてもらいたい。
立体標示がお目見え 車の減速効果を期待
石垣市内で運転者から立体的に見える道路標示がお目見えし、話題になっている。通学路付近での交通事故防止を促すもので、その名も「ソリッドシート」。濃淡の異なる色を配し、標示部分が立体に浮き上がって見える工夫が施され、車両の減速効果が期待できるという。
同シートは近年、全国的に普及しつつあり、石垣市では初の試みとして市民から要望があった市内6カ所に稲妻をイメージした「サンダータイプ」を導入した。形状は「マウンテンタイプ」や「ブロックタイプ」など数種類あるという。
市の2013年度交通安全対策事業として3月末から整備し、現在、登野城・真喜良・新川の市内3地区計6カ所に設置されている。市施設管理課では「今後、結果を検証したうえで標示を増やすかを判断したい」としている。同課の担当者は「標示がなくても、横断歩道手前ではこれまで通り減速してほしい」と呼びかけている。
肥育農家を支援へ 肉用牛供給体制を強化
石垣市の中山義隆市長は15日の記者懇談会で、新八重山食肉センターの供用開始以降の課題となる肉用牛の供給体制について、肥育農家への支援策を講じる考えを示した。補正予算で対応するという。
中山市長は「肥育農家には増頭をお願いしている。飼料代や牛舎の増築などのコストを軽減できるような支援策についてJAと話し合いをしている」と述べた。農家からは牛舎増築への支援を求める声が多いという。
中山市長はまた、子牛を生産する畜産農家に対しても「今は子牛の値段が高いので、リスクを負ってまで肥育に移管するのは難しい。肥育にかかる2年間の費用をどうするか、対応を考えたい」と述べた。
20日にオープンする新食肉センターについては「八重山の畜産を支える大きな基盤。県内トップ、九州でもトップクラスの食肉センターになる。海外出荷もできる機能を備えているが、まずは島内供給を充実させたい」と述べた。
新食肉センターは20日午後5時から現地で落成式、同7時からホテル日航八重山で祝賀会を行う。
供用開始から1週間 人員不足など課題も
新しい石垣市立学校給食センター(宮良信世所長)が供用開始してから15日で1週間が経過した。新しい調理器具の導入でこれまでにはなかったメニューを提供しており、児童生徒からは「おいしい」との声が上がっている。一方、始まったばかりで慣れない職員が多いうえに人手も不足していることから、さまざまな作業に遅れが生じるなどの課題が浮上。同センターでは近いうちに職員を増やし、不足している部署に配置して改善していく考えだ。
開所して初めての給食では、新たに導入したスチームコンベクションオーブンを使ったグリルチキンを提供。これまでになかったグラタン(9日)などのメニューも配送され、市内の児童生徒らを喜ばせている。
一方、人員不足で配送や洗浄、残飯処理などさまざまな作業に遅れが出ているという。
同センターは事務関係職員4人、栄養教諭2人、ボイラー技士1人、調理員と運転士24人の計31人で運営。旧センターの約3倍の大きさになり、配送車が4台から5台に増えたにもかかわらず人数は変わっておらず、人手不足の状態が続いている。
宮良所長によると、汚染区域と非汚染区域のゾーニングで衛生的には良くなったが、職員が容易に協力し合うことができず、思いのほか時間をロスしているという。
宮良所長は「供用開始して間もなく、職員も慣れない部分が多い。配送や回収の人数を調整するなど毎日試行錯誤しながら取り組んでいる。良い方向を探っていきたい」と話している。
民宿1棟を全焼 ユーグレナモール
15日午前9時32分ごろ、石垣市大川のユーグレナモール内にある民宿から出火、119番通報で市消防から消防車9台が出動して消火活動を行い、約1時間後の午前10時36分に鎮火した。
市消防によると、この火事で木造瓦・一部トタンぶきの2階建て約155平方㍍を全焼。2人が病院に搬送されたが、命に別条はない。市消防では16日以降、八重山署と合同で出火原因を調べる。
搬送されたのは家主の男性(68)と通報者の40代男性。家主の男性は煙を吸い込んだことによる中等症で入院した。民宿の宿泊客は3人いたが、全員安否を確認できたという。
現場は銀座通りにある素泊まりの宿泊施設兼飲食店舗で中央通りとの間に木造瓦ぶきが3軒並んでいるが、延焼はなかった。
この火事でモール内は煙が充満し、近隣住民や開店準備中の従業員がモールの外に避難。消防や警察車両のサイレンが鳴り響く中、消火活動を遠巻きに見守るなど一時騒然とした。
八重山署はパトカー8台、警察官20人を動員してユーグレナモールに交通規制し、周囲の道路を午前9時47分から午前11時まで通行止めにして現場の対応に当たった。
通行止めは午前11時すぎには解除されたが、火災現場が木造家屋で再び出火する可能性があることから同日夕まで警戒に当たった。
その後、午後4時10分ごろと午後6時10分ごろの2度にわたり、煙が出たため、消防車1台が出動して出火を食い止めた。
一方、今回の民宿火災で中心市街地商店街の道幅が狭いうえに商品の陳列棚を道路に張り出す店も多く、消防車両進入の妨げになるなど、スムーズな初期消火活動の確立に大きな課題を残した。
アメリカ民謡で慰霊 「石垣島事件」犠牲者を追悼
太平洋戦争中、米軍機が石垣島に不時着し、乗っていた米兵3人が殺された「石垣島事件」の犠牲者を追悼する「慰霊コンサート」(同実行委員会主催)が15日午後、観音崎の同慰霊碑前で開かれ、追悼の歌で飛行士の御霊を供養した。
同事件では、日本海軍の爆撃を受けた米軍攻撃機1機が石垣島に不時着。搭乗していたティポ中尉とタグル兵曹、ロイド兵曹が捕虜となった。日本兵は、戦争時の捕虜を人道的に扱う「ジュネーブ条約」を無視し、銃剣などで3人を刺殺したもの。
慰霊碑は、同慰霊碑建立期成会(識名信用会長)が2001年8月15日に建立した。
この日の慰霊コンサートでは、同実行委員会(田本徹委員長)のメンバー6人が生演奏でアメリカ民謡5曲を披露。バリトン歌手の田本さんとソプラノ歌手の十文字恵美さんの歌声が会場に響き渡った。
コンサート前には参加者全員で黙とうが行われ、識名会長の式辞を代読した識名安信さん(59)は「石垣島事件の真実の姿を次の世代に語り継ぎ、平和の実現のために日々努力したい」と語った。
石垣市の中山義隆市長は「戦争がもたらす悲惨さや残虐さを過去から学び、戦争を起こさないことを教訓とし、平和を強く発信する」と追悼のことばを述べた。
目がキラリ
▽…八重山商工高校の第21代校長に就任した真栄田義功さん(57)。前任校の那覇工業高校でも定時制との校長を兼ねており、「体力勝負」とそのハードさを語る。「校長が揺らぐと学校も揺らぐ。まずは自分自身から」と、昼休みに校庭を走ったり、筋トレしたりしているといい、「若い職員には負けていられない」と目がキラリ。
▽…南ぬ島石垣空港内でオオゴマダラの世話をしている座喜味盛二さんと宮田健司さんは「市のチョウのオオゴマダラをもっと身近に」と口をそろえる。かつては、幼虫の食草ホウライカガミを育てる運動があったが、今は下火。那覇市が3月に市のチョウに制定しているが、「石垣市が一番早い」とPRする。
▽…与那国町への自衛隊配備に伴う着工式典が19日に行われるのを前に、石垣市で抗議集会が開かれた。同日は同町で配備反対派が座り込みを行うことが予定されており、今回の抗議集会に参加した市民も「加わりたい」と話していたが、与那国行きの飛行機はすでに満席。「与那国に行きたいが、かなわぬのなら、私たちの意志と声だけでも届けたい」と応援のメッセージなどを考えている。
3年ぶり7万㌧突破 石糖、今期操業終了
石垣島製糖(加納成浩社長)は15日、今期操業を終えた。今期の原料生産量は当初予定の6万4876㌧を6600㌧上回る7万1482㌧となり、3年ぶりに7万㌧を突破した。
甘しゃ糖度は14.69度(前期14.55度)と前期を0.14度上回った。農家が支払いを受けた原料代金は1㌧当たり平均5636円(同5445円)。全体で4億291万円で前期を3337万円下回った。
今期は1月8日から98日間操業。
収穫面積1306㌶(前期比13㌶減)、10㌃当たりの単位収量は5474㌔(前期5145㌔)。
1日当たりの産糖量は92㌧(前期97㌧)。砂糖歩留まりは速報値で11.70%(前期12.43%)でいずれも前期を下回った。
収穫体系は、機械刈り67.0%で前期比8.1%増、無脱葉原料27.5%で同6.4%減、手刈り原料5.5%で同1.7%減となった。
加納社長は16日午後、同社会議室で開かれた操業終了式であいさつし、「今期は当初計画よりも10%増のありがたい誤算だった。最終歩留まりはまだ確定していないが、収穫が増えた分、製品も増えたことは確実。今後も効率的に肥培管理をして単位収量アップにつなげてもらいたい」と述べた。
4年目の町営学習塾が開講 東大—与那国
【与那国】子どもたちの学習を側面から支援する目的で2011年度から町が運営している「町営学習塾」が、本年度は14日から町複合型施設で開講した。授業は、会場の児童生徒と東京大学の現役学生が務める講師が大型画面を通して応答する形で行われる。これまで受講した児童生徒たちからは「分かりやすい」と評判が良く、事業は4年目を迎えた。
事業は、インターネットを介して行われるもので、ウェブ会議システムを用いながら授業を進めている。
昨年度からは学力テストを実施しており、講師は子どもたちの苦手科目を分析。その上で補習を行い、夏期には、直接、講師が来島して授業を実施するなどして学力向上に努めている。
本年度の事業で、児童生徒たちは、昨年と同様、小学4年生以上は国語と算数、中学1、2年は数学と英語、3年生は数学、英語、国語を学ぶ。
塾は、木曜日を除く平日の午後5時30分から。受講者は4~6年生22人、中1~3年は18人。
開講に伴い11日に開かれた説明会では、児童生徒や保護者ら合わせて約20人が注意点などを聞き、町教委担当課は、家庭での対応や安全な送迎など保護者に協力を求めた。(田頭政英通信員)
チョウで南国ムード演出 南ぬ島石垣空港
南ぬ島石垣空港内航空会社のカウンター後方にある中庭、通称「光庭」で優雅に舞う石垣市蝶のオオゴマダラ、竹富町蝶のツマベニチョウは、ボランティアの手で飼育されている。座喜味盛二さん(63)=石垣=と宮田健司さん(70)=平得=が昨年3月7日の開港以来、エサを与えたり、幼虫の食草に水をやったりして管理、南国らしさの演出に一役買っている。
■観光客に人気
「光庭」には南国の樹木のほか、鉢植えされた食草のホウライカガミやギョボクが置かれ、時期によっては金色に輝くオオゴマダラのさなぎを見ることもできる。観光客らに人気で撮影ポイントにもなっている。
座喜味さんは自宅で飼育したチョウやさなぎを提供。毎日、朝晩に訪れ、霧吹きを使ってエサをやる。中身はスポーツドリンク。「いろいろ試してみたが、甘味のあるスポーツドリンクが一番よい」とか。チョウは数百匹いるとみられるが、「数えたことはない」。
座喜味さんは「チョウは夏場、暑くてばてる。冬は20度を切ると動かなくなる。年間を通じて舞わせるのは並大抵のことではない」と難しさも感じたという。
石垣空港ターミナル社の石垣泰生代表取締役専務は「『光庭』は観光客に好評。2人が熱心に世話をしており、市のチョウと竹富町のチョウで南国ムードを演出している」と感謝する。
■那覇がライバル
一方、2人とも那覇市が3月、オオゴマダラを市のチョウに制定したことに危機感を抱く。宮田さんは「オオゴマダラは石垣市を代表するチョウ。市内にもオオゴマダラが増えてほしい。市も取り組みを強化して」と要望する。
現在は解散している「オオゴマダラを育てる石垣市民の会」のメンバーとして、ホウライカガミの苗2000鉢を無償配布する活動を行った座喜味さんは「もっともっと身近なチョウになってもらい、増やしてもらいたい。このままだと那覇市にお株を奪われかねない。私も石垣市のチョウとしてPRしていきたい」と話した。
「郡内養鶏場に異常なし」 鳥インフル
熊本県多良木町の農場で飼育していた鶏から鳥インフルエンザが確認されたのを受け、八重山家畜保健衛生所(多嘉良功所長)は16日午後、同所に八重山地区内の関係者を集めて「八重山地域特定家畜伝染病危機管理対策会議」を開き、県が養鶏農家向けに示した侵入防止対策の情報を提供するとともに、関係機関の連携強化を確認した。同家保によると、郡内の養鶏場ではこれまでに鳥の異常は確認されていない。
昨年12月末現在、郡内では53戸の養鶏農家が4万9164羽を飼養。3市町別では▽石垣市=4万8540羽▽竹富町=489羽▽与那国町=135羽。
同家保は14日、500羽以上飼育する養鶏場6カ所で立ち入り検査を行うとともに、100羽以上を飼育する養鶏場11カ所に電話で異常鶏の発生などの聞き取りと感染予防の徹底を呼びかけている。
この日の会議では、同家保の多嘉良所長が「県の対策本部で確認された方針をもとに管内の関係機関との迅速な情報の共有化を図りたい」とあいさつ。
鳥インフルエンザ防止対策として、野鳥や野生動物を侵入させない防鳥ネットの設置や鶏舎内の消毒強化の徹底を農家に呼びかけることを確認。竹富町や与那国町は、同家保と協力して実施する。
参加者から、管内で感染が確認された場合の対応マニュアルや関係機関の役割、連絡網の再確認を求める声が挙がり、家保側は、再度、初期対応を含むマニュアルと発生時の対策本部機関の連絡網を配布し、今後はこれに基づき防疫訓練を重ねて万が一に備える考えを示した。
風評被害に対する懸念についても指摘があり、同家保側は「今回の鳥インフルは鳥から人に感染する可能性はなく、八重山の鶏肉や鶏卵への影響はない」と安全性を強調した。
竹富町分離、来月決定へ 教科書採択地区
【那覇】市町村単位での教科書採択が可能になる改正教科書無償措置法が16日、一部施行されたのを受け、県教育委員会(宮城奈々委員長、委員6人)は5月下旬にも竹富町を八重山採択地区から分離する見通しとなった。
県教委は7日、各市町村教委に採択地区見直しについての調査票を送付して5月2日までの回答を求めている。同21日開催予定の定例会ではこれらの回答を踏まえ、採択地区の再編を協議するとみられる。
諸見里明県教育長は16日午後の定例会で、竹教委の慶田盛安三教育長から「現行の採択地区協議会から離脱したい。慎重に議論した上での結論」との電話連絡があったことを報告した。
委員からは「竹富町の意向を尊重しなければいけない」との意見があり、宮城委員長は「竹富町の分離について検討しつつ、全市町村の調査の結果を踏まえて、対応の方向性を皆さんで考えていきたい」と述べた。
県内には、採択地区と教育行政区が一致しない自治体が6カ所ある。次の通り。
▽国頭教育事務所管内の伊是名村と伊平屋村=島尻採択地区▽中頭教育事務所管内の恩納村=北部採択地区▽那覇教育事務所管内の久米島町と北大東村、南大東村=島尻採択地区。