健康福祉センターの芝生広場に重機が入った。老朽化で昨秋撤去された遊具の新設工事かと思ったら違う。「石垣市まち・ひとづくり支援センター新設工事」との表示が▼「ちーがーうーだーろーっ」。子どもたちの遊び場を、わざわざ狭くしてどうする。センターには「ひまわり」がある。子ども支援センターもある。広々とした空間を駆け回って遊ぶ子らがいる。サッカー教室もある。そもそも新しい遊具はなぜ設置しない?▼活用できる市有地は他にもある。芝生広場でなければならない理由がわからない。子どもたちに寄り添う発想や視線がみじんも感じられない▼違和感は新年度事業にも。小中学校教室のクーラー整備のためクラウドファンディングで寄付金を募る予算案である▼補助金が使えず財政的に厳しいのはわかる。でも、肝心の地元の子らの教育環境整備を寄付に頼る考え方、それを対外的にアピールする発想が理解できない。ならば施策を厳選、徹底的に無駄を減らして子らのために整備費を捻出するのが先だ。2年連続の「冬の花火」を中止したように見直せばいい。街コン、たぶん日本一豪勢な渡航費。そんな外向き施策がたんとある▼北西部の幼稚園休園も来年まで不安が続く。子どもは地域の宝。寄り添うぬくもりがある社会でありたい。(慶田盛伸)
健康福祉センターの芝生広場に重機が入った
5024人がエントリー 石垣島マラソン28日号砲
28日に開催される第16回石垣島マラソン(石垣市など3団体主催)の事務局(市スポーツ交流課)は15日、エントリー者数が昨年の4979人を上回る5024人と発表した。5000人台は、第13回大会の5059人に次いで2回目。
国内から46都道府県、海外から六つの国・地域からエントリーがあり、県内が2646人、県外が2196人。海外は、中国やアメリカ、香港などから182人の申し込みがある。
大会は石垣市中央運動公園を発着点に、フル(42・195㌔)と24㌔が午前9時、10㌔が午前9時20分スタート。ご当地ヒーローの「琉神マブヤー」がスターターを務める。制限時間はフル6時間30分、24㌔3時間30分、10㌔1時間30分。
年齢に合わせマラソンを楽しめるオリジナルエイジラインの表彰を設け、交流広場として市総合体育館メインアリーナを開放して飲食可能とする。特設ステージでは「琉神マブヤーショー」も予定されている。
市役所庁議室で会見した大会長の中山義隆市長は「回を重ねるごとに国際色豊かな大会になってきた。参加者だけでなく沿道から応援でも盛り上げてほしい」と協力を呼び掛けた。
会見後には日本トランスオーシャン航空(JTA)から30万円と航空券80万円分、日本航空(JAL)から航空券60万円分、オリオンビール㈱から35万円とオリオン製品5ケース、ドリーム企画㈱から30万円と商品券10万円分が贈られた。
宇宙センター誘致を 夏にフォーラム開催へ
一般社団法人八重山青年会議所(兼盛博文理事長、会員35人)の兼盛理事長らは15日、事務局で会見し、2018年度運動方針を発表した。「未来(ゆめ)を描き突き進め!!~挑戦の先に八重山の未来がひろがる~」をスローガンに、八重山での宇宙センター誘致に向けたフォーラムや石垣市長選のマニフェスト型公開討論会の開催などの取り組みを明らかにした。
事業計画は▽親の職場見学▽親道プログラム▽市長選マニフェスト型公開討論会▽若者と政治家による意見交換会▽宇宙に関するフォーラム▽会員拡大にむけ仮入会制度の導入▽姉妹JC(台湾・蘇澳港JC、北海道稚内JC)との交流|など18項目を予定。
新規では、宇宙センター誘致の可能性を見いだすため、夏にフォーラムの開催を目指す。将来的に宇宙関連の事業を通して産業の発展や経済振興へつなげたい考え。
公開討論会では、政治への関心を高めてもらおうと高校生用の特別席も設置する。
今月1日付で就任した兼盛理事長は「未来を見据えて地域のために活動を展開していきたい」と抱負を述べた。
新役員は次の通り。
▽理事長=兼盛博文▽副理事長=砂川直毅、平得脩一郎、真喜志賢、田村健次▽専務理事=上地誠▽青少年育成委員長=新城永人▽政治意識向上委員長=王滝龍▽まちづくり委員長=新里裕樹▽会員拡大委員長=黒島英諭▽総務広報渉外委員長=田代慶光
西表島の世界自然遺産登録向け きょうカデロ氏を任命
ことし夏ごろに西表島の世界自然遺産登録を控える竹富町は16日、世界文化遺産を有するサンマリノ共和国の駐日特命全権大使マンリオ・カデロ氏を町応援大使に任命する。世界154カ国の駐日大使を代表する駐日外交団長も務めるカデロ大使を通して町内各島の歴史や自然、文化などの魅力を発信したい考え。西大舛髙旬竹富町長は取材に「カデロ大使の力をお借りし、西表島、そして竹富町を世界にPRしていきたい」と期待を寄せた。
町応援大使は、竹富町に深い愛着と関心を寄せる人が、島々の紹介や宣伝活動を通して町発展などに協力する。任期は3年。
カデロ大使は、プライベートを含めて石垣島や西表島を2、3度訪れており、西表島を「ハワイに負けない素晴らしい場所」と絶賛。世界遺産関連で同国大使館と交流を図っていた町から昨年、オファーを受け快諾した。
サンマリノ共和国はイタリア半島中東部に位置し、面積61・2平方㌔、人口約3万3000人(2016年8月時点)。世界で5番目に小さな国で、世界最古の共和制国家として知られる。
2008(平成20)年には、サンマリノ旧市街のあるティターノ山(739㍍)や歴史地区などが世界文化遺産に登録された。
西大舛町長と竹富町議会の新博文議長ら一行が16日午後、東京都港区のサンマリノ共和国大使館を訪れ、カデロ大使に認証状を交付する予定。
新議長は「これを契機に西表のPRや、自然環境保全の取り組みにつながればうれしい」、西大舛町長は「サンマリノ共和国とは世界遺産のつながりもある。カデロ大使からは西表島のファンとしての思いも聞いており、竹富町をどんどん盛り上げていければ」とそれぞれ話した。
災害時、観光客どう守る?
■観光危機対応でフォーラム
2013年3月の新空港開港以来、過去最高の入域客数を更新する八重山観光は17年も好調を持続し、まだ最終の数字は発表されていないが、目標の131万人突破は確実な情勢だ。開港前年の12年が71万3000人だったことからすると5年間で約2倍も増加したことになり、八重山は「観光客150万人時代」も視野に全国有数の観光地に成長したといえるだろう。
こうした大勢の観光客でにぎわう石垣で去る10日、「災害時、観光客をどう守る?」をテーマに「島しょ地域の観光危機管理について考えるフォーラム」(県、沖縄観光コンベンションビューロー主催)が開かれた。
「観光立県」を標榜(ひょうぼう)する沖縄県は、2011年の東日本大震災を受け14年に全国に先駆けてあらゆる災害を想定した「観光危機管理基本計画」を策定、翌15年には実行計画もまとめた。フォーラムでは同計画策定に携わった琉球国際航業の山﨑晴彦氏が、参加した石垣市などの行政関係者や観光業者らおよそ80人に災害時の観光客への対応について説明した。
■4段階の備えで対応を
昨年、ついに16年のハワイをしのぐ900万人超の観光客が訪れた沖縄は、観光産業がリーディング産業として県経済に大きな役割を果たしていることから、観光客の安全・安心を守り、持続的な発展を期すため危機管理計画を策定したが、それが今や「沖縄に学べ」の先進県になっている。
基本計画で県が想定する観光危機は▽地震、津波、台風、竜巻、大雨による洪水、土砂災害などの自然災害▽ホテルなどの大規模な火災・交通・船舶・航空機事故、大規模停電、テロ、ハイジャックなどの人的災害▽大規模中毒、感染症、インフルエンザなどの健康危機▽大気汚染、海洋汚染などの環境危機▽県外で発生した上記の風評被害ーなどを挙げている。
山﨑氏はこうした危機に対し、県の計画で示された▽平常時の減災対策▽危機対応への準備▽危機への対応▽危機からの回復|の4段階での備えをそれぞれ説明。「災害時には土地勘がない観光客に対する避難から帰宅までの支援には、地域を知る地元の観光従事者らの役割が大きい」と強調した。
■安全・安心のブランド
県内では県に続いて南城市が17年3月に危機管理計画を策定している。石垣市は地域防災計画で対応するか、新たに観光に特化した計画を策定するか現在検討中という。山﨑氏は「地域防災計画には観光客の目線は入っていない」としてクルーズ船など国内外から増加する観光客の危機管理に対するマニュアルの必要性を指摘した。
八重山経済も観光への依存度が高く、観光客を引き付けるには安全・安心のブランド力も必要だ。石垣市が観光に特化した危機管理マニュアルを策定すれば、これに基づいて行政や事業者らが現場で連携して動くことができる。
そしてそれが「安全・安心・快適な観光地」として口コミやツイッターなどで全国に広がり、八重山観光のさらなる発展に役立つはずだ。
冒頭から私事で恐縮だが新年早々、本土から帰省した…
冒頭から私事で恐縮だが新年早々、本土から帰省した大学生の息子から、5年間の日記が書けるほどの分厚いスケジュール帳をプレゼントされた▼昨年末のアルバイト代で購入したようだが、買ってはみたものの自分では使えない代物と思って「どうぞ」と譲ったのかどうかは定かではないが、何はともあれ新年に思わぬ大人のお年玉をもらったような気分になったのは確かだった▼頂いたからにはとこの1年、いや5年間しっかりと使いこなそうと決意。開いて見て「いいな」と思ったのは、5年間のあの日、あの時が1㌻の中で確認できるようになっており、発売元のアイデアに感心した▼早速、元日から日記兼用として使い始めた。よく日記の継続で言われる三日坊主にはならないと意を決して、毎日の就寝前の楽しみにしようと自らを奮い立たせて取り組んできたが、新年も10日を過ぎたあたりからここ数年の空白の多い手帳同様に、早くも雲行きが怪しくなってきた▼これではいかんと本コラムを書きながら再度奮い立っている次第。今回、日記をつけるにあたり、手元にある数年の手帳をめくってみた。大変な時や感動したこなど過ぎし日々の記憶がよみがえり、自己反省と共に勇気をもらった▼一日を振り返り自分自身を見つめる。日記には人生を豊かにする秘密がある。(鬚川修)
保護対策に本腰を
▽…昨年末に市街地の浜崎緑地公園で衰弱しているところを救護されたカンムリワシの幼鳥が野生に帰っていった。石垣市民会館の中庭でも目撃されていたという。個体が市街地に迷い込むケースはときどきあり、自然開発などで生息域が狭まっている可能性もある。市のシンボルとして持ち上げるだけでなく、保護対策にも本腰を入れる必要がありそうだ。
▽…竹富町は18年度から地域おこし協力隊制度を初めて活用する。郡内では石垣市が導入し、各隊員が写真共有アプリ「インスタグラム」で市の情報発信するなどそれぞれ活躍をみせるが、同制度の課題は隊員と派遣地域との親和性。ヒト・モノの流れが制限される多島一町で、新たな視点を持つ人材投入は吉と出るか。文字通り地域を起こし、町の活性化につながる隊員の着任が待たれている。
▽…OTS石垣観光センターが格安航空会社を利用して商品化した海外旅行ツアー。石垣空港発着という利便性を生かし、拡大する郡内の旅行需要を取り込む。海外旅行は「ハードルが高い」、「怖い」という声もあるが、安さと添乗員が同行する安心感で販促を狙う。市場規模が小さい八重山でも需要はあるとみる。アウトバウンドにも変化が起きそうだ。
インフルエンザ拡大
八重山保健所管内でインフルエンザの患者数が1月8日からの1週間で362人(定点当たり120.67)に急増し、猛威を振るっている。過去10年間で最多を記録した2016年2月22日から1週間の罹患数369人(同123人)を上回る勢い。乳幼児から児童の間で爆発的に感染が広がっており、保健所は「うつさない対策」「かからない対策」の徹底を呼び掛けている。
同管内では、前週(1月1日から7日)にインフルエンザ警報が発令されており、8日以降の1週間で罹患者が98人から264人増加。主にA型(256人)での罹患者が目立つ。
石垣市教育委員会と市児童家庭課によると、市内小学校の2校(3クラス)と幼稚園1園で学級閉鎖となっている。園児らと接触機会の多い保育士の間でもまん延しているため、同課は流行を防ごうと、実施可能な家庭には「家庭内保育」を呼び掛けている。このほか、竹富、与那国両町の小中学校での学級閉鎖措置は取られていない。
増大した要因は判明していないが、同保健所は▽不要不急の外出を控える▽感染者は無理せずに会社や学校を休み安静にするーなどの注意を喚起。
さらに、救急病院に患者が集中すると、緊急を要する患者への対応が遅れる危険性があることから、症状がある場合はかかりつけ医への相談と受診を求めている。
同保健所は、市内3医療機関で定点数を集計。定点30人以上で警報が発令される。
市内でパイン栽培習得へ
【宜野座】農業技術伝達による国際貢献と県内農業経営の安定化を図ろうとJAおきなわが2017年から導入している外国人技能実習制度の第2期生の開講式が16日、JAおきなわ教育研修所で行われた。2期生はベトナム人17人。今回、初めて八重山での受け入れが実現、2人が石垣市内のパインアップル農家の下で栽培技術を学ぶことになっている。実習生は2月9日までの約1カ月間、研修所で日本語や生活、交通安全などの指導を受けた後、受け入れ先に派遣される。
第2期生の受け入れに向け、JAおきなわの職員と受け入れ農家が昨年8月、ベトナムで面接を行い、応募のあった40人のうち17人の採用を決定していた。
実習生らは約3カ月間、ベトナムで日本語などの研修を受け来日、開講式に臨んだ。県内各地12の農家や事業所で実習を積み、派遣1年後に行われる技能実習試験にパスすれば2年の延長が可能となる。
石垣市内で技術指導を受けるファン・ティエン・ズンさん(26)は「いろいろ教えていただき、技術習得をしたい」、チャン・アイン・ズンさん(30)は「おいしいパインアップルがつくれるよう頑張る」とそれぞれ抱負を述べた。
開講式で慶留間輝雄常務理事は「農家から技術や知識を習得し、帰国後、経済発展や産業振興の担い手となってください」と活躍を期待した。
地域おこし協力隊初活用ー竹富町 鳩間島で取り組む
鳩間島で取り組む「油化プラント」の安定稼働と、町への移住定住促進に向け、竹富町が地域おこし協力隊制度を初めて活用する。15日から隊員2人の募集を開始した。多島一町の町内では高齢化と人的資源の確保が課題。同制度を導入して都市圏の人材を呼び込むことで、油化プラント事業と移住定住促進事業の骨組みを構築し、新たなネットワークの形成につなげていく考えだ。
地域おこし協力隊は、総務省が地方の人口減対策などのため2009(平成21)年度にスタートさせた制度。隊員にかかる経費は同省が特別交付税で財政支援する。
同省のまとめによると、16年度の隊員数は886自治体で3978人。郡内では石垣市で4人が活動している。
鳩間島では09年に、海岸に漂着した発泡スチロールをスチレン油に精製する固定式油化装置(プラント)を導入。その後、移動式を開発、公開実験されるなど、漂着ごみの処理コスト低減化や鳩間島の産業開発に期待が寄せられていた。
現在、島には固定式油化プラントが1台あるが、▽人手不足▽精製量の少なさ▽利用用途が限定されているーなどを理由に安定的な稼働には至っていない。
協力隊員の一人は鳩間島に勤務し、油化プラントを活用した持続可能な資源化ネットワークを組み立てる。他の一人は町役場を起点に週4日は各島をめぐり、関係機関・団体との調整、情報収集やSNSでの町の魅力発信して移住定住促進に取り組む。
町政策推進課は「これまで不足していたマンパワーを補うことで、地域への刺激、地域おこしの実現と維持など地域活性化につながることを期待している」と話している。
募集に伴い、町は地域おこし協力隊の設置要綱を10日付で施行、15日に公示した。
今季最強クラスの寒波の中、久しぶりに東京で本土の寒さを体感した…
今季最強クラスの寒波の中、久しぶりに東京で本土の寒さを体感した。日中は10度前後まで気温が上がるものの、朝晩は1、2度。雪国の氷点下まではいかないものの、石垣の寒さとは少々寒さが違った▼日中でも日なたはまだ耐えられたが、日陰に入るととたんに寒さで身が縮んだ。ダウンジャケットを着てそれなりに寒さ対策をしたが、足元から冷えてくる底冷えする寒さは、南国育ちの筆者には少々こたえた。この冷え込みの中、日々生活する人たちの大変さを身をもって知ることができた▼ふと考えたのが東京などに住む県出身者たちはこの冬の寒さとどう向き合っているのだろうか。慣れたのだろうか▼以前、石垣に住む北国出身者が、冬になると地元の人以上に寒がっていたことを思い出した。雪国と比べ寒いはずはないのだが、体が住む環境に順応した結果なのか▼それにしても東京に行くとよく歩く。車やバイクでの移動が主の石垣では考えられないほどの歩数だ。最寄りの駅まで歩き、駅構内でも階段を上り下り、電車の乗り換えで走る。駅を出ても目的地まで歩く。足はパンパンだ▼近年、めっきり運動量が減った筆者にとっては、強制的なウオーキングの機会となった。都会は人の多さが好きになれないが、こと歩く環境にはもってこいだ。
詩情誘う梅一輪
▽…春の兆しを感じる梅の花が開花。春一番のころに咲き始め、風に乗って辺りに甘い香りを漂わせる。季節を知らせるので詩情を誘うだろう。「梅の香り」という島唄や、「梅の花一輪咲いても梅は梅」などと詠んだ人もいる。なかには曇りどきの花がいいという人も。花鳥風月が楽しみな時期。山や野に散策に出掛けてみよう。
▽…美崎牛本店が販売する「美崎牛」が台湾に進出する。日本からの輸入解禁以降、台湾では和牛ブームが起きており、台湾の食品卸売会社はブランド牛として富裕層をターゲットに売り込みをかける。同社の代表は「2016年に初めて美崎牛を口にしたが、言葉にできないくらいのおいしさだった」と絶賛。今回の展開が楽しみだ。
▽…八重山闘牛組合の女性組合長に就任した上地かおりさん。幼いころから、父親の故・黒島孫全氏の影響で闘牛に関わっていた。「幼いころは闘牛を何とも思っていなかった」と話すが、今になって父親の功績を振り返ると、「八重山の誇り」と尊敬する。父親から受け継いだ闘牛への情熱が上地さんの原動力。組合全体の発展へとつなげていく。
ICT、学力向上に効果
離島地域の学力向上を目的に沖縄県が2014(平成26)年度から3年間、竹富町内7拠点を含む3町村11拠点で実施した「ICT利活用による離島学力向上支援実証事業」で、竹富町では黒島・小浜・竹富島で中学生の英語と数学、西表・波照間島で中学生の英語の学力向上が認められた。県企画部地域・離島課が10日までにまとめた。
同事業は、学習塾の不足や複式学級など離島地域の不利軽減を図ろうと、ICT(情報通信技術)を利活用して東京の現役東大生と各拠点の小中学生をテレビ電話でつなぎ、参加型授業と対話を行うもの。
県は事業効果を把握するため、全国模試を8月と10月、1月の年3回受けてもらい、各拠点の平均偏差値の推移を測定。受験者数が1人の拠点など同指標での判断は難しい点があるとしながらも▽教科ごとの成熟度別のクラス分け▽中学1年の範囲からの基礎固めーがプラスの結果につながったことを理由に挙げた。
竹富町は同事業を引き継ぎ、2017年度から町単独の「家庭学習支援モデル事業」を展開。一括交付金を活用し、A地区(波照間小中、大原中、西表小中、船浮小中)とB地区(竹富小中、黒島小中、小浜小中、鳩間小中)の8拠点で実施している。授業料は無料。
現在、参加率(昨年12月時点で38%)の低さが課題となっており、竹教委は来年度の事業継続に向け、参加者を対象としたアンケート結果や現場視察を踏まえ、▽船浦中学校での実施▽同事業の周知徹底ーに取り組む予定。
八重山闘牛界に新風ー初の女性組合長に上地かおりさん
八重山闘牛組合で昨年11月、第7代組合長に上地かおりさん(44)=石垣市石垣=が就任した。組合設立55年で初の女性組合長。全国でも初めて。「屈強な男たちの世界」というイメージの強い闘牛界を発展させようと奔走、「私一人で引っ張るのではなく、組合員の皆さんと協力して盛り上げていきたい」と抱負を語る。フットワークの軽さと求心力が魅力。女性組合長の誕生で八重山闘牛界に新たな風が吹き始めている。
八重山闘牛界に多大な功績を残した故・黒島孫全氏(享年70)の4人兄妹の末っ子。みなぎるバイタリティーは父親譲り。2010年、孫全氏の他界をきっかけに日本トランスオーシャン航空八重山支社を退職して一転、闘牛の道へ。
組合長就任後、SNS(ソーシャルネットワークサービス)を活用した同組合の情報発信や県内外で各闘牛団体との交流を強化。自ら現地へ足を運びトップセールスも行う。
現在、同組合員は25歳から70歳までの22人。闘牛は約90頭。このうち70頭が上地さんの兄弟や家族で経営する牧場に所属する。
牧場では闘牛の育成も行っており、「私にとって牛たちは1頭1頭家族のような存在」と愛情を込める。実戦を想定して週1回の訓練を行い、体調を整えるため餌にも気を使う。
好調な八重山観光とともに、年3回(1月、4月、8月)の大会を観戦しようと本土から訪れる闘牛ファンも多く、「闘牛女子」の獲得にも意欲的だ。
今月12日には闘牛場の改修工事にも着手しており、完成後は多目的施設として観光業の活性化にもつなげる考え。闘ヤギとタイアップした取り組みにも期待を寄せる。
闘牛界の歴史を築いた先輩たちに感謝しつつ、他県のように八重山闘牛を重要無形文化財指定も目指す。上地さんは、「粘り強く頑張り、闘牛文化を後世に残していきたい」と決意を新たにしている。
電動スクーター来月シェア開始 市と台湾メーカー共同事業
台湾の電動バイクメーカー、GOgoro社と石垣市の共同による電動スクーターのシェアリングサービス「GO SHARE」を展開する住友商事㈱=東京都中央区=は、2月からサービスを開始する。1月4日付で沖縄ツーリスト(東良和代表取締役会長、OTS、那覇市)と戦略的パートナーシップを結び、OTSが石垣島観光の新たなアクティビティとして打ち出し、観光商品の創出や機材の保守など総合的なサービス管理を担う。バイクの貸し出しなどを行うステーションは市役所第二駐車場、船越漁港、川平公園駐車場、新石垣空港に設置される。
「GO SHARE」はGOgoro社製の電動スクーターと交換式バッテリー用充電ステーションを島内に設置し、観光客らに有料で貸し出す国内初のシェアリングサービス。運営は住友商事の子会社「e-SHARE石垣」(高橋良幸代表取締役社長)が行う。
住友商事が発表した計画では自然環境に配慮した電動スクーターを100台導入。短・長期的に訪れる観光客に料金プランを設定して利用してもらい、運営支援を行うOTSはレンタカー事業のノウハウと観光業の利点を生かし、石垣島の景観を楽しむ新たなアクティビティ商品を開発する。
サービス開始時は、石垣港離島ターミナルを貸し出し拠点に30台からスタート。新たなシェアリングシステムが構築される4月以降から、台数を増やすなど本格的に展開する。
OTS観光部の石坂彰啓執行役員は「観光客だけではなく、離島住民のシェアリングにも期待している。石垣島の魅力を発信するプロモーションを展開してクリーンエネルギーを生かした観光振興を目指したい」と期待した。
「美崎牛」、台湾進出 JA石垣牛に先駆け
㈲美崎畜産(美崎伸栄代表)が生産する自社ブランド牛「美崎牛」を販売する㈱美崎牛本店(美崎信二代表取締役社長)は、日本産牛肉の輸入を16年ぶりに解禁した台湾に、枝肉の出荷を開始することになった。春節(旧正月)の2月16日までには消費者に届く見通し。毎月6~7頭の出荷を計画する。JA石垣牛に先駆け、石垣島から民間ブランド牛が台湾市場に進出することになり、現地での反応が注目される。一方、八重山食肉センターには海外輸出に必要な衛生管理システムが構築されておらず、島外での処理を余儀なくされるため、早期の対応が求められそうだ。
台湾当局は昨年9月18日、日本で2001年に牛海綿状脳症(BSE)が確認されて以降、禁止していた和牛の輸入を解禁。これ以降、和牛の需要が高まっているという。
美崎牛本店によると、解禁に向けては台湾人関係者からオファーを受け、出荷に向けた準備を進めた結果、台湾の食品卸売会社と契約した。
卸売会社の鍾佳融代表は「2016年に初めて美崎牛を口にしたが、言葉にできないくらいのおいしさ。肉の柔らかさと甘みは初めて口にするもので、台湾にも広めたいと思った。和牛焼き肉店などで美崎牛を並べて売っていきたい」と話している。
同本店は16日、鹿児島県下の食肉センターで処理するため、初出荷用の6頭を船積みした。1頭から400㌔の枝肉がとれるため、出荷量は2400㌔前後になる見込み。枝肉処理後は鹿児島から高雄に海上輸送、高雄から卸売会社のある基隆まで陸送される。
海上輸送のコストがかかるため、販売価格は割高になるが、美崎社長(42)は「負担はかかるが、台湾では富裕層をターゲットにしている。1人でも多くの人においしさを知ってもらい、石垣島に行ってみたいという人が増えれば、観光振興の手助けにもなる。台湾を足がかりに将来的にはアジアやヨーロッパにも挑戦したい」と話している。
美崎牛を生産する美崎畜産の美崎代表(49)は「食文化を共有することで、経済的な交流につながればと思う。どこまで通用するか勝負をかけたい」と意気込む一方、「八重山食肉センターには早めに出荷できる体制をとってもらいたい。そうすればと畜料も地元に落ちる」と要望した。
去る12日の筆者の「不連続線」の「石垣も自衛隊が来れば…
去る12日の筆者の「不連続線」の「石垣も自衛隊が来れば自衛隊にまつわる新たな犯罪や事故が当然予測される」の記述に対し16日八重山防衛協会、八重山自衛隊家族会、自衛隊隊友会八重山支部から連名で本紙に対し、記述の撤回と謝罪を求める抗議があった▼冒頭に申し上げるが、3団体が抗議の理由としている「自衛隊や自衛官の尊厳や名誉を著しく毀損・侵害し、職業選択の自由もないがしろにしている」との意図は全くないし、従って記述の撤回や謝罪の意思は全くない▼沖縄では基地あるがゆえに女性暴行殺人などの米軍犯罪や事故が相次いでおり、自衛隊も日本の基地あるところでさまざまな犯罪や事故が起きているのは周知の通りだ▼そこで石垣も自衛隊基地ができれば、従来石垣ではなかった自衛隊にまつわる事件事故の可能性は当然予測できるので素朴にそう記述したまでのことだ▼従ってそこに自衛隊や自衛官、その家族の尊厳や職業選択の自由をないがしろにするという意図は全くない。むしろ安保法制定で自衛官が殺し殺される危険な戦場に駆り出される可能性が高まったことを憂え、同じ人の親として危惧を感じている▼ただ抗議があったということは自衛官やその家族らの心情に配慮を欠いた面もあるだろうから今後は慎重を期したい。(上地義男)
休養日設定、最善の道はどこに
▽…教員の業務負担軽減や子どもの健全な成長促進の観点から、平日のうちの1日と土日のいずれかの計2日の休養日設定を理想としている市教委。実際に中学生から「疲れて勉強ができない」、教職員から「とても負担、多忙感」などの声もあり、喫緊の課題だ。一方、負担と感じていない教員や、練習時間の増加を望む保護者がいることも事実。賛否両論ある問題だが、両者にとっての最善の道を地域全体で考える必要がある。
▽…石垣島の西海岸にリゾートホテルを構えるフサキリゾートヴィレッジビーチ&ガーデンが現施設を約2倍規模に拡大する。2020年までに段階的に新施設をオープンして客室数は398室になる。島内で活発化するホテル建設計画で宿泊施設全体の客室数は増加。拡大するホテル業界の動向を注視する航空業界も先島方面の送客を強化してきた。旺盛な需要を取り込む動きはまだまだ続く。
▽…石垣海上保安部の市内4カ所目となる宿舎が昨年12月20日、石垣市真栄里に完成した。200戸で、これまで住居不足のため那覇を拠点に活動していた職員100人余が順次入居。同部の石垣拠点の16隻18クルー尖閣専従体制の執行が可能となる。ただ、これまで民間アパートで暮らす職員の入居もあり、民間賃貸住宅への影響が心配だ。
「118番の適正利用を」
海上保安庁緊急通報用電話番号を周知する「118番の日」の18日午前、石垣海上保安部(遠山純司部長)の職員と海上保安協会八重山支部(辻野ヒロ子支部長)の会員らは石垣港離島ターミナルで、地域住民や観光客らにパンフレットやポケットティッシュなどを配布して118番の適正利用を呼び掛けた。
同保安部によると、2017年に寄せられた118番通報は6042件。このうち、船舶海難関係が73件(1・2%)、人身事故関係が282件(4・7%)、警備救難情報提供が94件(1・6%)、無言や間違い電話などの非有効件数が5469件(90・5%)、その他124件(2・1%)だった。
非有効件数のうち、無言が46・5%と最も多く、着信時の即断が28・7%、間違いが21・8%、いたずらが3%。
同保安部の山川博司次長は「118番の認知度は上がってきているが、依然として無言や間違い電話が多い。海難対応に支障が生じる恐れがあるので、しないようにお願いしたい。溺れているかもしれないといった疑問を生じた時は迷わず通報してほしい」と適切な利用を求めた。
ターミナル内の具志堅用高像に周知用たすきをかけたほか、海保キャラクターの「うーみん」も登場し、PRした。
44%が「休み取れていない」 中学校教職員
石垣市教育委員会が実施した2017年度の学力向上推進計画の調査で、部活動や教職員の残業について「平日のうち週に1日休みを取れていない」「どちらかといえば取れていない」と回答した中学校の割合が合わせて44%に上っていることが分かった。市教委は部活動の休養日を平日と土日のいずれかの計2日間取ることが、教員の業務負担軽減や子どもの健全な成長促進の観点から「理想」としており、「(結果に)課題を感じている。教職員や保護者の理解を得ながら取り組みを推進していきたい」としている。
市教委は15年度に策定した中学校の部活動時間についての方針で、各校に土日も含めて週に1日以上の休養日を設定するよう促しており、土日のいずれか1日を休みとする努力事項も規定している。
方針は小学校にも準じる形でスポーツ少年団に協力を求めており、調査では25%が「どちらかといえば取れていない」と回答した。
方針ではほかに▽こどもの日▽旧盆▽年末・年始休(12月29日~1月3日)▽旧十六日祭▽家庭の日(第3日曜日)ーを休みにするとしているが、これらも実践されていない現状がある。
「家庭の日」について市教委は昨年12月、八重山郡体育協会(玉城学会長)に各種競技大会と行事などの開催を設定しないよう文書で協力を依頼した。
玉城会長は「以前も家庭の日には極力大会を設定しないように各種競技団体に伝えたことがあるが、使用場所が限られていたり、ほかの週に大会が集中したりと、なかなか難しい実態がある。次年度の計画を組む3月あたりに再度、理事長から各種団体に伝えてもらうようにしたい」と話している。
全国的には昨年5月に文部科学省が運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインの作成検討会議を開催しており、▽練習時間・休養日の設定▽指導の在り方ーなど4項目の検討を進めている。
ガイドラインは本年度末に取りまとめられる予定で、市教委担当者は「(ガイドラインを基に)各小中学校と関係機関が連携しながら対応していくことになるだろう」としている。