■知事選へ正念場
戌年は「核のボタンはいつでも私の机の上にある」「私の核が強力だ」の金正恩とトランプという米朝トップの物騒なののしり合いで明けた。今年もまたこの異常な二人に翻弄(ほんろう)されると思うと不安になり、憂うつになる。
さらに憂うつになるのが、二人の対立に便乗して危機感をあおり選挙に大勝したばかりか、高額の武器購入で軍備を次々増強。憲法も数年内に改正しどんどん「戦争する国」に突っ走る安倍政権だ。既に5年を経たその長期政権が、さらに2021年まであと4年も続くとこの国はかつての「軍国主義」が復活するのではと怖くなる。
安倍政権に不条理な差別を強いられる沖縄にとってことしは正念場を迎える。辺野古新基地建設が強行される中、今年は2月に名護市長選、11月に県知事選が行われるからだ。
翁長知事は「首相が国民のために頑張るという国民の中に沖縄県民は含まれているのか」と批判する。まさにその通りだと思うが、若い女性が元米兵に殺されても米軍のヘリ事故が頻発しても、米従属の政権にさらに従属する県民がいることには不思議な違和感を覚える。
■風雲急の石垣市長選
八重山もことしは選挙の年。3月に石垣市長選、9月に3市町議員選挙がある。そのうち、石垣に自衛隊を配備し、「標的の島」にするか、このまま「観光の島」で行くのかが争点の市長選は風雲急を告げる様相を呈している。
当初は3期目を目指す保守系現職の中山義隆氏(50)に、革新系の市議宮良操氏(61)が挑む保革一騎打ちの争いと見られていた。ところが、革新側候補が決まった昨年暮れごろから、保守側から現職の市政運営に反発する市議らが自民の現職県議である砂川利勝氏(54)の擁立に動き、保守分裂の三つどもえの可能性が出てきたのだ。
しかし、選挙結果が県知事選や石垣への自衛隊配備に連動するため、共倒れの恐れがあるとして最終的には自民党本部が一本化に向け調整に乗り出してくる可能性もある。ただ、内部分裂の亀裂は大きく、一本化しても自衛隊配備推進の保守側へのダメージは避けられそうにない。
保守分断では、公明もますます中山氏に慎重にならざるを得ない。自衛隊反対の革新陣営にとっては大きな追い風であり、今後の展開から目が離せないというところだろう。
■今年も経済は好調
八重山経済は昨年も観光が目標の131万人を突破、観光消費額も昨年の788億6千万円を上回る好調を持続、好景気に沸いた。一方で人手不足がさらに深刻化し、宿泊業界はじめ各業界は人材確保に追われた。
ことしも、昨年をしのぐクルーズ船などの寄港でさらなる活況が予想される。そこで課題となるのは、年間800億円にも迫る観光消費額をいかに地元に還元できるかだ。「ザル経済」でなく、賃金にも反映し豊かさを実感させることができるかどうかが問われてくる。
人手不足は「正社員化」に対する求職側と求人側の条件が合わないミスマッチが大きな要因であり、企業側に「雇用の質」改善と人材育成への積極的な対応が求められる。好調な経済持続には「株価より給料アップが大事」というのが専門家の一致した意見だ。