第43回八重山毎日駅伝競走大会(八重山毎日新聞社主催、八重山郡陸上競技協会主管)が3日、石垣市中央運動公園陸上競技場を発着点に石垣島を東回りに1周する前半9区間39・1㌔、後半7区間37・5㌔、計16区間76・6㌔のコースで行われ、与那国が4時間46分47秒で3年ぶり12回目の優勝を果たした。与那国は前後半ともに制し、完全優勝。町制施行70周年に花を添えた。2位は平得、連覇のかかった真栄里は3位だった。躍進賞は昨年の記録を28分15秒縮めた13位の大川が獲得した。平得の砂川大河(12区)、与那国の脇園誠(14区)が区間新記録を樹立。最優秀選手賞に新栄町の宮城宙、北部の高橋考生が選ばれた。 レースはスタート後から西表の井本優良と与那国の仲嶺吉朗が抜け出し、激しいトップ争いを展開。西表が2秒差で制し先頭で2区へ。
しかし与那国は2区でトップに出ると、5区の久保真一が快走し後続を大きく引き離し、独走態勢に。9区の一斉スタートでも村松稔が区間賞の走りで譲らず前半を制した。北部が高橋考生の活躍で2位に入った。与那国は前半で2位の北部に4分11秒の差をつけ折り返した。
後半、与那国は12区で4位まで後退するも、13区の中村大樹がトップに躍り出ると、区間新の脇園誠、三ツ岩森之、長尾蓮とつなぎ、層の厚さを見せつけて完全優勝。「ぶぅるしどぅなる(皆でやればできる)」の合言葉通りに12度目の栄冠をつかんだ。2位の平得に6分41秒の大差をつけた。
前後半で繰り上げスタートをしなかったのは与那国と真栄里のみ。前半は、与那国、波照間、川平、平得、真栄里の5チーム。後半は与那国と真栄里だけだった。
この日はスタート前から雨で午前9時の気温は22.2度。レースが進むにつれ雨脚は強まり、6㍍以上の風と強い雨のなか、タスキをつないだ。
上位の結果は次の通り。
【総合】
①与那国4時間46分47秒②平得4時間53分28秒③真栄里5時間1分16秒
【前半】
①与那国2時間28分42秒②北部2時間32分51秒③平得2時間33分22秒
【後半】
①与那国2時間18分5秒②平得2時間20分6秒③真栄里2時間22分33秒
■「ぶぅるしどぅなる」結実
町制70年に花 「最高の気分」
2年間悔しい負け方をしてきた。監督を辞めようと思ったこともある。何よりも「優勝旗の奪還」を目標にやってきた。3年前に6連覇を達成したときのメンバーも今は4人だけ。田島政之監督(45)が掲げたのは「ぶぅるしどぅなる(皆でやればできる)」。
島では防災無線でレースの模様を放送し、町民1700人が聞いた。だから下手なレースはできない。「これが一番怖い」とプレッシャーも感じたが、掲げた目標通りチーム一丸で走り抜き、3年ぶりの優勝旗。「与那国の人は2位では納得しない。町制施行70周年にも花を添えることができて最高の気分」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
なかでも2年ぶりに出場した永井秀樹の復活を喜び、「3日前まで本人の返事待ちだった。しっかりとタイムを出してくれた。一番頑張った。仕事も忙しいなか、よくここまでやってくれた」とたたえた。
一方、9区のエース区間を走った村松稔は40歳。「僕がいつまでもここを走っていたら、若い子が育たない。うまく下につないで、連覇のできるチームづくりをしていきたい」と語った。
■永井、2年ぶり出場
「走る楽しさ再認識」
2年ぶりに出場した永井秀樹(26)は、監督から1㌔4分を切るよう課せられた。社会人になってから長距離から遠ざかっていたが、約1か月前から練習を始め、1㌔3分45秒まで戻した。
仕事も忙しかったが、プライベートの時間を削って練習を積んできた。「今の状況でここまでやれれば満足。優勝までできて言うことなし」と戻ってきた脚力に手応えを感じている。
「今回の出場で、走る楽しさを再認識できた。市郡駅伝の話もあるので、練習を継続していきたい」と、やる気を取り戻している。