今秋に台湾ー石垣航路で試験運航を予定していた高速貨客船「ナッチャン・レラ」(1万712㌧、旅客定員774人)が、今後の運航を断念したことが21日までに分かった。昨年5月から台湾の大手物流企業と運航計画を進めてきた㈱あんしん(浦添市、安里享英会長)によると、台湾での集客が難航したことなどを背景に一転して計画が白紙に戻ったという。あんしんは新たに来年の就航に向けて、国や県による運航補助事業の適用を模索しながら石垣市と協力した台湾でのプロモーションで需要を高めたい考えだ。
これまでの計画によると、レラは台湾の基隆港をメーンに石垣と結ぶ週2便運航を予定。台湾や八重山の旅行会社と連動して一度に送客可能な250~500人規模の個人・団体客向けの3泊4日や4泊5日のツアー商品開発に着手。市内では宿泊施設の受け入れなども進めてきた。
計画が暗礁に乗り上げた最大の要因は台湾側での集客が課題にあった。
あんしんが台湾の旅行会社に聞き取りしたところ、石垣島はリゾート地としての認知度は高いが食や購買、アミューズメント性などの面で弱く、旅行商品の需要が低いという。
同社は今後、海外から県内へ就航する航空会社に適用されている運航補助事業の海路への拡大を見据えて県に働きかけるほか、石垣市と連携した台湾でのプロモーションで需要を掘り起こし、人と物の相互利用を図る方針だ。
同社担当者は「台湾旅行会社への聞き取りではかなり厳しい意見があったが、石垣市と協力してレラを利用できる条件を整備すれば観光需要を高める可能性は十分にある。来年の就航に向けてオール石垣で取り組みたい」と話した。