■中山氏、圧勝で再選
2日に投開票が行われた石垣市長選挙は、現職の中山義隆氏(46)が自公の厚い組織力にも支えられ、前職の大浜長照氏(66)に4000票余の大差をつけて圧勝、保守として鬼門の2期目も突破して再選された。市民は再び若さと行動力の中山氏に石垣市のまちづくり、経済振興を託した。
前回長期政権批判で5期目を阻まれた大浜氏は、今回保守の一部も取り込んだ「市民党」で雪辱を期した。しかし年齢的にも「過去の人」のイメージを払拭(ふっしょく)できず、加えて従来の殻を破れない「平和」をメインとする革新陣営の旧態依然の選挙戦術も、経済低迷で目の前の生活や経済を重視する今どきの若者を引き付ける魅力に欠け、前回に続く大敗となった。
今回の大浜氏の再登板で見られたように革新陣営の人材不足は極めて深刻だ。当面9月の市議選をターゲットに若い世代の人材発掘と育成を図ることができなければ、今後しばらく“冬の時代”が続くことになるだろう。
■96項目のマニフェスト実現へ
中山氏の勝因は、自身が今選挙でアピールした過去4年間の実績と若さ・行動力が評価されたものだ。19日に1期目の任期が満了し、20日から「日本一幸せあふれる石垣市」づくり第2章がスタートする。
中山氏は当選インタビューに答え、「市民と約束したマニフェストを必ず4年間で実施したい。さらに新空港開港で上向いた経済、観光を伸ばすことで各種産業を育成し、市民一人一人が経済の豊かさ、生活の安定を実感できる石垣市づくりをしたい」とあらためて決意を語った。
そのマニフェストは、アジアの玄関の立地を生かした「国際観光都市」を石垣市の将来像として、▽平和へのアプローチを筆頭に▽福祉・医療▽農業・畜・水産業振興▽経済振興|など11項目を柱に96項目からなっている。持ち前の若さと行動力で待機児童ゼロ、県内最高の市民所得などの公約を実行し、子育て世代など市民一人一人が幸せを感じることができるまちづくりを一歩一歩着実に進めてもらいたい。
観光業界期待のゴルフ場建設や職員の意識改革によるスピード感ある市政運営も2期目の課題。新空港以来の大型プロジェクトである建設業界期待の国営土地改良事業は、ぜひ目標の95%同意取り付けで事業を進めたい。
■自衛隊配備はお断りを
今回の選挙では自衛隊の石垣配備が報道され、自公の政府与党は火消しに追われたが、受け入れに柔軟な中山氏の当選で同問題が具体化する可能性は極めて高くなった。そこで懸念されるのが、かつての新空港問題のように住民を2分した対立に発展することだ。
小さな観光の島に軍事基地は似合わない。中山市長は、平和な島を対立に導く自衛隊配備を断ってほしい。
那覇市の翁長雄志市長は、中山市長と同じ保守系だが、普天間飛行場の辺野古移設やオスプレイ配備などで沖縄のアイデンティティーにこだわり、政府の姿勢に公然と反対している。平和の党の公明の支持を受ける中山市長にもそういう柔軟な対応を期待したい。