来年3月の石垣市長選(4日告示、11日投開票)に向け、保守系現職の中山義隆氏(49)が4月23日の就任7周年激励会で事実上のスタートを切り、対抗する革新系も4月に候補者選考作業に着手するなど、双方に動きが出ている。次期市長選は、平得大俣東への自衛隊配備計画が最大の争点となる見通し。中山氏は、配備に向けた手続きの開始を容認するなど事実上の受け入れ表明を行ったが、「最終判断ではない」と強調。革新側は、人選作業と並行しながら自衛隊配備計画の是非を問う住民投票の早い時期での実施を視野に入れている。
中山氏は就任激励会で登壇者から相次いで出馬表明を促され、「3期目。さてどういたしましょうか」と周囲の後押しを期待。「残り1年、全力で頑張った成果を評価してもらう中で、次の挑戦が見えてくる」と3期目に意欲をみせた。今後、出馬表明の時期タイミングを探るとみられる。
対抗する野党勢力は選考委員会を立ち上げ、今後、選考方法などを詰める。有力な候補者名は上がっていないが、関係者は「6月末までには決めないと運動ができなくなる」と急ぐ考え。中山氏から距離を置く保守系議員の1人は「相乗りできる候補者なら」と期待感を示す。
市長選は市議補選も同時に行われるため、両陣営とも相乗効果が出るようセットで戦うものとみられる。
最大の争点となる自衛隊配備計画をめぐっては、前回市長選の告示日に具体的な候補地を挙げて最終調整しているとの報道があり、中山陣営がこれを否定、争点化を回避した経緯があるが、今回は平得大俣東の市有地と周辺を候補地とする計画が発表された後の選挙となるため、争点化は避けられない。
市議会は昨年6月定例会で、平得大俣東への配備計画請願が「海上自衛隊を優先すべきだ」「もっと市民の意見を聞いて判断すべきだ」などとする一部与党議員の反対で不採択となり、続く9月議会では、住民投票条例案を発議する動きがあったが、野党側と市民団体の意見がまとまっていなかったため、見送られた経緯がある。
野党の一部は「住民投票条例の提案は6月議会がタイムリミット。早ければ早いだけ、市長の判断に関係なく自衛隊配備計画そのものの是非を問うことができる」と話す。選挙では人物、政策、実績などさまざまな要素が総合的に判断される傾向があるからだ。
住民投票について中山市長は「国防や安全保障は国の専権事項なのでなじまない」との認識を示す一方、「住民投票そのものを否定するものではない。議会発議、住民発議の住民投票は尊重すべきだと考える」としており、条例の内容によっては結果を尊重する意向を示している。
当面、天王山となる市長選を前にした住民投票の動きが焦点となる。