16日の石垣島トライアスロン大会を取材して感じたことを一つ、二つ▼「諦めなければ可能性は無限大」と大書した横断幕を背に、競技用ではない普通の車イスでフィニッシュした選手がいた。うつむいてしばらく顔を上げられない。トライアスロン歴約20年で流した初めての涙だった▼豊見城市の赤嶺政則さん(54)は2011年4月、「脊髄動静脈奇形」という原因不明の病を患った。医師から「もう歩けない」と言われた。1年間の入院生活。絶望のふちに立たされた。その後、リハビリに励み、専用のつえをついて歩けるまでに▼長くは歩けない。競技は腕が頼り。スイムで海水を飲み込んでしまった。ランコースの新川小学校のグラウンドでは車輪がめり込んだ。でも諦めなかった▼赤嶺さんは「夢以上の現実を手に入れた」と喜びをかみしめた。障がい者もチャレンジ精神、努力、工夫があれば目標を実現できると言った。障がいの有無にかかわらず誰にでもあてはまる言葉だと思った▼もうひとつはバイクの一部とランのコースとなった市役所通りについて。選手が行き交う様は壮観だった。これほど観戦、応援に適した場所はない。出場者は「多くの市民に応援してもらった」と感激していたが、気恥ずかしい思いがした。少ないと感じたから。もっと工夫しよう。(比嘉盛友)
16日の石垣島トライアスロン大会を取材して…
大型スーパーに中国人観光客
▽…中国厦門から「コスタビクトリア」に乗って中国人観光客1800人がやってきた。通常のクルーズツアーと違い、1隻貸し切るクルーズチャーター。乗客輸送で観光バス46台がフル稼働、一日の稼働台数では最高を記録。下車地の大型スーパーには住民の姿がない異様な光景があった。クルーズ観光は一度に膨大な入域数と消費額をもたらすが、地域と観光のバランスが崩れているのは確かだ。
▽…ことし80回目を迎えた八農高の草刈り大会。記念大会として恒例の金の鎌に加えて、銀と銅の鎌も準備、大会を盛り上げた。同大会は農業クラブの活動の一環。クラブに所属する生徒たちが準備運営を担う。農業クラブの篠田楓委員長は「みんなが一生懸命草刈りしている姿が見られたので良かった」と喜び、自身も昼飯抜きで79㌔を刈り取り、女子2位で銀の鎌を手にした。
▽…八重山商工高等学校の生徒10人が中国語検定の3級と準4級に合格した。3級合格者の出地佑希君(3年)は「後輩たちが、出地を追い越したいと中国検定に興味や関心を持ってくれている」と後輩たちの競争心に火をつけた。観光コースからは準4級に8人が合格し、今後も検定合格への期待が高まっている。
管・電気工事 地元業者の最優先指名を
【那覇】石垣管工事事業協同組合(嵩原督理事長)、八重山電気工事業協同組合(新城永一郎理事長)、県電気管工事業協会八重山分会(粟盛哲夫分会長)の代表らが21日、県土木建築部(宮城理部長)を訪れ、八重山圏域の公共工事の早期着工、分離・分割発注、地元業者の最優先指名などを要請した。要請団は、沖縄総合事務局開発建設部も訪れた。
嵩原理事長は、建設物価や労務単価の上昇、急激な需要状況の変化により経営環境は厳しい状況にあるとした上で地元事業者を最優先とした指名の必要性などを訴えた。
具体的な要請項目としては八重山農林高校寄宿舎改築工事や八重山特別支援学校校舎改築工事、県営新川団地建て替え工事、新石垣空港アクセス道路の照明工事などのほか、電工・配管工の労務単価の見直しと建築資材の実勢価格の採用などを求めた。
宮城部長は、地元業者優先を考慮する考えを示す一方、労務単価については「実態を調査した上で決定している。実際支払われている単価が上がれば、国の定める労務単価も上がる」と理解を求めた。
事業者の一人は「経験豊富な人材が労働環境が楽な他の業界に転職してしまっている。業界全体の弱体化につながる。工期の緩やかなゆとりある環境が必要だ」と訴えた。
要請には、事業者代表のほか、砂川利勝、次呂久成崇両県議も同席した。
辻口さん最優秀賞に輝く
【西表】竹富町織物事業協同組合(島仲由美子理事長、組合員42人)は21日午前、竹富町離島振興総合センターで「ミンサー作品コンクール」を開き、手織りと天然染色で仕上げたミンサー帯の最優秀作品賞に辻口由紀子さん(63)=大原=が輝いた。作品コンは2006年4月21日の初開催以来、11年ぶり。竹富と西表西、東部の組合員15人が112点を出品した。きもの専門店大手の㈱やまと(本社・東京都、矢嶋孝敏代表取締役会長)がモノづくり支援を展開する一般財団法人沖縄つくりべの会と共催で開かれた。
同コンクールは町内でミンサー織に従事する組合員の製作意欲と草木染の技術向上が目的だが、組合員の減少で織手不足となり、ミンサー帯の生産量低下で定期開催ができない状況にあった。
組合は14年度から町の「伝統芸能後継者育成事業」を活用して会員を増やし、生産量の向上と独自性の作品が充実したことで11年ぶりの開催を実現した。
今回のコンクールは「都会の女性」をテーマに組合員の作品が一堂に会した。従来の茶色や藍染め、フクギ染めとは違い、色彩豊かな色合いを組み合わせた斬新なデザインの作品が並び、会場には各地域から多くの人々が訪れた。審査は全国つくりべの会の最高顧問も務める矢嶋会長が行った。
藍色と白の下地にグラデーションを組み合わせて最優秀作品賞を獲得した織手歴35年の辻口さんは「着物に合うようにぼかしを入れるなど、新しい技法に挑戦できた。人の作品を見るのは新しい発見と刺激になる」と開催を喜んだ。
島仲理事長は「前回に比べて新しい色が自然の染料で表現され、技術も高い。織手の増員で生産量が増えれば(作品展を)定期的に開催したい」と期待した。
入賞者は次の皆さん。
▽最優秀作品賞=辻口由紀子▽優秀作品賞=上森佐和子、高市弥生▽準優秀作品賞=川満文子、田本有子、比嘉律子、大山満里子、早田照美▽染色賞=本盛美恵子、下地昌子▽技術賞=島仲やよい▽努力賞=星陽子、大城りさ▽奨励賞=東浜さと子
計画素案を答申 移住・定住支援協議会
石垣市移住・定住支援協議会(会長・本村真琉球大学教授、20人)は21日、石垣港ターミナルビル会議室で開いた第4回の会議で、向こう5年間の支援計画素案をまとめ、本村会長が中山義隆市長に答申した。人口が減少している地域コミュニティーの維持・存続、人材が不足している分野での担い手確保|の観点から移住・定住支援に取り組む基本方針を盛り込んでいる。市は近く計画を決定、計画に基づく施策を展開していく。
素案は▽移住希望者への効果的な情報発信▽移住者と地域をつなぐネットワークの構築▽移住やその後の仕事・住まいの支援▽専門性を有する人材の移住・定住支援—を施策の方向性とした。
具体的な取り組みとしては、移住希望者に対する相談会の開催や移住ガイドブックの作成、空き家バンクの創設、土地利活用の調査・検討、保育士・介護士などの受け入れ支援などがある。
答申では▽受け入れでは各集落の郷友会との協力・連携体制の構築▽受け入れ地域向けのガイドブックの作成▽地区別の特性に考慮した移住支援の取り組み—を検討するよう求めた。
本村会長は「移住希望者への情報発信、受け入れ態勢の構築が大きな柱。計画の中身を具体的に進めてもらいたい」と述べた。年度末に協議会で進捗(しんちょく)状況を確認する。
中山市長は「石垣島は移住者を受け入れて成長してきた島。誰でも彼でも、どこでも移住してくださいというのではなく、島の文化や環境を守りつつ、移住者の力も借りながら互いに幸せになれるまちづくりをしていきたい」と決意を語った。
今回の会議では、委員で徳島大学の田口太郎准教授が▽各地域が必要とする移住者像を描く▽持続的な移住者確保や移住者サポートの体制をつくる—ことの必要性を指摘、「これらの動き全体の戦略を描き、コーディネートする主体が必要になる」とアドバイスした。
アパート、マンションの新築工事が目立つ。…
アパート、マンションの新築工事が目立つ。移住公務員宿舎としての借り上げも見込まれ、契約次第では長期安定な資産運用法として注目されている。一方で古くなったアパートやマンションが島の家賃の高止まり傾向の影響を受け同じ賃料なら新しい所がいいと引っ越され、その後空いたままという建物も▼石垣市の家賃は、那覇市並みと話す知人もいて確かに月々の収入に占める割合は大きいようだ。近年は家賃に加えて保険料を徴収する保証人不要の物件もあるが過半は保証人必須。高い家賃は家計を圧迫し滞納にもつながる▼通常契約では家賃さえ滞らない限り長く住み続けることができる。ところが夜中に大声を発したり、壁をたたくなどの行為に及んだことで隣近所から疎まれ、家主から退去を求められる事案も出てきているとの由▼しかしこれらの行為が生まれながらの障害や心疾患症状によるものだとしたら一概に非道だと決めつけるわけにもいかず、関係者も困惑▼実際、石垣島でも身寄りのない一人住まいの障害者や母子とも障害者という家庭でアパート入居のための保証人が頼めず、就労支援施設の責任者が担う事例も▼沖縄の住みやすさはユイマール(助け合い)と長幼の序。身分や職業、障害の有無などで分け隔てしないことではなかったか。(仲間清隆)
陸自受け入れリスクと覚悟を
▽…大川公民館で21日夜、講演した元陸自レンジャー隊員の井筒高雄さん。南西諸島への自衛隊配備は、中国との局地戦を想定した米国の防衛戦略だと強調した。だから、有事の際は配備箇所が攻撃対象になる。井筒氏は「受け入れのリスクと覚悟を理解する必要がある」と述べ、賛成反対にかかわらず情報を分析して冷静に対応するよう求めた。
▽…石垣市婦人連合会の2017年度定期総会で、宮良和美会長が2期目に選任され、会員のリードオフマンとして今後もその手腕に期待したい。一方、総会を取材していた地元紙が突如、石婦連側から退席を求められた。役員改選で執行部と会員の意見相違による「こじれ」で内輪もめが発生したからだ。市の補助金を受けている石婦連がオープンな総会をクローズするとは異例中の異例だ。
▽…竹富小中学校が竹富町教育委員会の研究指定を受け、小中連携・一貫教育の推進に取り組んでいる。同校の島仲信秀校長によると、中学校教諭はそれぞれの教科に加え、小学校の授業の教材研究も行っている。「負担も大きい中で、中学校教諭が前向きに取り組んでいなければ今の形はない。本当に感謝している」と話す。同校の実践が一つのモデルとなり、広がることでさらなる竹富町の学力向上に期待。
キビ脱葉施設の財源要請 竹富町
竹富町の西大舛髙旬町長は18日、東京都で山本有二農林水産相らを訪ね、西表に導入が計画されているサトウキビ脱葉施設の整備に伴う財源を措置するよう要請した。他にも、沖縄県と北海道の農家を支援する国の特定地域経営支援対策事業の延長も求めた。
脱葉施設は、町の事業として2017年度予算に約4億9000万円が盛り込まれている。当初、町は、国、県、自治体で整備費を負担する強い農業づくり交付金事業の活用を予定していたが、県の本年度の予算措置が間に合わず、事業採択には至らなかった。そのため、別事業で予算確保を要望した形だ。
町によると、山本農水相は「農林水産省としても農業の効率化、機械化の促進には力を入れたい」、同じく要請を受けた衆議院農水委員会の宮腰光寛筆頭理事は「若手農家の育成や新規就農にも関わることなので努力したい」などと述べ、特定地域経営支援対策事業の延長とも合わせ前向きな姿勢を示したという。
要請は、鶴保庸介沖縄・北方相、秋元司内閣委員長、林幹雄自民幹事長代理、槌谷裕司沖縄振興局長、国場幸之助衆院議員にも行った。
要請には大久研一町議、砂川利勝県議が同行。町産業振興課の小濵啓由課長が随行した。
与那国町270万円で県内1位 2014年度平均所得
県がことし3月に発表した2014年度の「市町村民所得」によると、本島北、中、南部と那覇、宮古、八重山で分けた地域別1人当たりの平均所得で八重山は前年度から2万8000円(1.3%)増の220万5000円で、那覇の248万5000円に次いで2番目に高い所得となった。市町村別1人当たりの平均所得は、同年度から陸上自衛隊沿岸監視隊の駐屯地建設工事が始まった与那国町が270万2000円で、前年度より12万1000円の大幅増。石垣市は209万5000円(同3万6000円増)、竹富町は213万6000円(同9万円減)となった。
県企画部統計課がまとめた「県市町村民所得」は県内全41市町村が対象。1人当たりの市町村民所得は、雇用者報酬と財産所得、企業所得の合計を人口で割って算出した。企業所得も含まれるため、個人の収入額とは異なっている。
14年度の市町村別1人当たりの平均所得で郡内3市町は、南ぬ島石垣空港の開港を翌年に控えた2012年度から3年連続増加。地域別1人当たりの平均所得で八重山は12年度209万7000円、13年度217万7000円(前年度比8万円増)、14年度220万5000円(同2万8000円増)と右肩上がりに推移している。
各市町村の年間経済活動で新たに生み出された付加価値を生産と分配の両面を把握する14年度の市町村民所得(分配)は石垣市が1033億1100万円で全41市町村中9番目、竹富町は86億100万円で29番目、与那国町は42億1300万円で33番目だった。トップは那覇市の7941億円。
また、年間生産活動で新たに生み出された付加価値の貨幣評価額を示す市町村内総生産は、石垣市が1546億5000万円(前年度比61億1000万円増)で7番目、竹富町は176億1900万円(同6億1100万円減)で25番目、与那国町は81億9400万円(同21億7600万円増)で31番目。
与那国町は公共工事で発注された陸上自衛隊沿岸監視隊駐屯地建設工事を背景に前年度からの増加率が36.2%で全市町村の中で最も高い伸び率を示した。
授業展開、連携で充実〜竹富小中学校で一貫教育研究実践
【竹富】竹富小中学校(島仲信秀校長、児童17人、生徒15人)は本年度、竹富町教育委員会(大田綾子教育長)の研究指定を受け、小中連携・一貫教育の研究実践に取り組んでいる。同校はこれまでにも自主的に小中連携教育を行っており、小学校から中学校へのスムーズな接続を実感。一方、児童生徒数の増減に伴う教員の配置の変動で不安定な学級運営になりやすいことなどが課題。島仲校長は「手探り状態だが、“児童生徒ファースト”で取り組んでいきたい」と意気込んでいる。(松井弥恵子記者)
■スタイル統一を確認
竹教委は昨年度、義務教育9年間の児童生徒の発達を見通した教育の充実を図ろうと「小中連携・一貫教育基本方針」を策定。本年度から教員の兼務辞令を発令し、竹富町の全小中学校で、相互に授業ができるようにした。
竹富小中では小学校の複式解消などを目的に以前から、中学校教諭が小学校でも授業を実施。昨年9月ごろには、授業の導入から振り返りまでの流れやノートの使い方などを小中で統一することを目指す「竹富校授業スタイル」を作成し、本年度当初に全教職員で確認してスタートした。
■「同じ先生から学びたい」
校内研究主任を務めている中学校数学科の與那嶺聡教諭(40)は「中学入学前の児童の様子や習熟状況が年間を通して分かり、入学後もスムーズに授業ができている」と振り返り、「スタイルを統一することで子どもたちがより授業に入りやすくなる」とメリットを強調。
小学校教務主任の加原玲子教諭(43)は「複式学級を教員が1人で見ることは授業展開の部分で厳しい。連携することで児童にとって充実した内容になり、中学校教諭の専門性から学びも深まる。本年度は中学校教諭に小学校の授業を見てもらい、小学6年から中学1年のつなぎも含めてしっかりやっていきたい」と意欲を語る。
国語や算数、理科などを中学校教諭から教わっている小学6年の藤井可菜美さん(11)は「難しいこともあるが、ゆっくり分かりやすく教えてくれる。来年も同じ先生から学びたい」と笑顔。
■実践の広まりに期待
同校によると中学校は本年度、学年ごとの単式学級だが、次年度は1、2年が複式学級になる可能性が高く、それに伴う教員数の減少が予想される。島仲校長は「少ない中でできるかどうか。永続的に取り組めるよう安定的な教員の配置など、全体で考えていく必要があるのではないか」と提起する。
一方、大田教育長は「そのような状況は竹富町の特性としてずっとあること。少ない中でもできる方法を探るのも研究」と指摘し、「来年開催予定の町学力向上推進実践発表会で課題も含めて報告してもらいたい。研究内容を各校が参考にして広めていってほしい」と期待している。
ごみ袋、品切れのおそれも
▽…ごみ処理手数料を引き上げる条例の改正案は24日、臨時市議会に上程され、委員会を通過した。25日の本会議で可決される見通し。ごみ袋は大、中、小とも1枚5円アップとなる。この案件はことし4月施行を予定して昨年12月に提出されていたもの。施行日は8月1日に変更した。直前になると、買いだめで品切れが想定されるため、対策を求める声も。
▽…明和大津波から246年が経過、大津波の教訓は受け継がれているか。先日の市民防災訓練で初めて炊き出しを行った自主防災会があった。非常食用のお米を炊き、訓練に参加した人々に振る舞おうと準備。しかし、参加者は少ない。会員の女性が「時間とともに意識も薄れているのかねぇ」と肩を落とす。年1回の訓練を”備え”に使ってほしい。一人一人の意識が有事の際に生きるのだから。
▽…八重山闘牛組合の観光闘牛大会。会場には大勢の観光客や地元住民が詰めかけ、熱気に包まれていた。闘牛をひとつの観光資源としている大会で、取り組みの後は、観光客たちがお気に入りの牛と記念撮影に興じる姿が見られた。関係者の一人は、牛に触れ、うれしそうにしている観光客に目を細めながら「これだけサービスが良いのは石垣だけ」と笑顔で胸を張っていた。
何やらおどろおどろしい。ここぞとばかりに…
何やらおどろおどろしい。ここぞとばかりに朝鮮半島有事への不安をあおり立てる政治とメディア。核実験を繰り返す北朝鮮に軍事的圧力をかけるため、米空母打撃群が朝鮮半島近海に到達するという▼軍事力行使を含む「全ての選択肢」を掲げ「力による平和」を見せつければ、即座に米国支持を表明する安倍総理。外交努力と自制を求めるべきだろうに、海自護衛艦を共同訓練させるなど、むしろ軍事衝突をあおっているようにしか見えない▼安倍氏は母方の祖父・岸信介の系譜に連なることが誇り。だが、安倍家の祖父・寛(かん)は戦前・戦中の衆議院議員で、軍部と闘い東条首相に退陣を迫った硬骨の人。父・晋太郎氏は日中平和友好条約に関わった護憲・リベラル主義者。常々「俺は岸の婿ではない。寛の息子だ」と語っていたそうだ▼三代目は父祖のDNAとは異なるか、米国追従、軍拡路線を突き進む。この国と国民をどこへ導こうとしているのだろう▼「北の三代目」は核ミサイルをもてあそぶ。先の4発同時発射では「在日米軍基地攻撃の訓練」と明言し、全国を震撼(しんかん)させている▼嘉手納をはじめ米軍基地が集中する沖縄。基地あるがゆえに狙われる恐怖。なければ狙われないのは誰の目にも明らか。「標的の島」になるのは嫌だ。他人ごとではない。(慶田盛伸)
明和大津波遭難者慰霊祭 犠牲者の冥福祈り献花
石垣市主催の明和大津波遭難者慰霊祭が24日午後3時から石垣市宮良タフナー原にある大津波遭難者慰霊の塔で行われ、地域住民や行政関係者約200人が参列し、献花するなど犠牲者の冥福を祈った。
明和大津波は1771(明和8)年4月24日午前8時ごろ、石垣島の東南沖約40㌔を震源地とするマグニチュード8クラスの地震により発生。石垣島の東海岸で最大30㍍、宮古島地方にも10㍍以上の津波が押し寄せた。当時、八重山の人口の約3割となる9313人が犠牲となった。ことしは同津波発生から246年目にあたる。
慰霊祭では、石垣市老人趣味の会詩吟クラブ(宮良栄子代表)の13人が、故・牧野清さんの「慰霊の塔に寄す」の詩吟を奉納。大浜小学校6年の我喜屋鈴乃介君が「その日のことは忘れてはいけない」、大浜中学校3年の慶田花涼馬君が「私たちにできること」の作文を朗読した。
作文朗読で我喜屋君は「推定700㌧という大きさの石を運ぶ自然災害はいつ起こるか分からない。避難訓練を繰り返すことでこれから起こるかもしれない自然災害に備えることはできる」と述べ、慶田花君は「いつ襲い来るか分からない災害に備え、声を掛け合い、お互いが助け合えるように顔が見える地域づくりが必要」と災害への意識を訴えた。
式辞で中山義隆市長は「過去の教訓から学び、一人一人が自らの命を守るため、防災、減災の意識を持ち、災害時の備えをいま一度、確認してほしい」と述べた。
市民防災訓練 津波想定し、6999人参加
石垣市の市民防災訓練が23日、市内各地で一斉に行われた。市によると自主防災組織30団体、小中学校16校と11の関係機関が参加。住民6999人が38カ所の避難所に避難し、各自が経路や要した時間を確認した。今回の訓練では情報収集能力を高めるため、消防庁が開発したスマートフォンアプリ「多助(たすけ)」をテスト導入。上空からドローンで撮影した映像による状況確認も行われた。同訓練は市民防災週間(24日~30日)に伴うもので、今回で6回目。24日は、各学校など約2000人が避難ビルへの避難訓練を行った。
23日の訓練では、午前10時に石垣島南方沖で発生した地震で大津波が襲来する想定で行われ、市は中央運動公園屋内練習場に災害対策本部(本部長・中山義隆市長)を設置。自衛隊派遣要請や住民の安否確認、炊き出しなどを訓練した。搬送訓練では空・陸自ヘリで明石地区と波照間島から住民を陸上競技場に搬送。石垣航空基地は、ヘリで海上流出者のつり上げ救助を訓練した。
同本部では、各避難所に配置された約30人の職員から、多助を通し現場の様子や避難人数が写真と一緒に送信され、本部内で情報を共有した。
また、同練習場には八島、真栄里、平得、登野城の各地区などから2341人が避難し、八島からは徒歩で約30分要した人もいた。
八島からベビーカーを押し家族3人で避難した仲松理江さん(36)は「自宅から約27分かかった。歩道にはみだした木の根や、段差にベビーカーのタイヤがとられ時間をロスし、最終的に車道を歩いた」と歩道整備の必要性を感じたという。
八島小から避難した、那覇安雅くん(6年)は「第1次避難ビルまで、地震発生から7分を目標に、みんな駆け足で避難した」と振り返った。
新川公園に避難した男性(64)は、同公園への参加者の数に「年々、参加者が減り、防災に対する住民の意識が希薄化している。意識の緩みが危険で、この訓練がもったいない」と嘆いた。
本部長の中山市長は「情報収集・伝達手段が多様化しており、機能をうまく活用できたのでは」と評価し「地震発生から津波到達まで時間が短いので、今後は低地に住む住民の避難場所の対策が求められる」と話した。
市議会臨時会 ごみ処理手数料引き上げ
石垣市議会(知念辰憲議長)の臨時会が24日、開会し、ごみ処理手数料を引き上げる廃棄物の処置・清掃に関する条例の一部改正案と、市庁舎建設用地となっている国有地の取得に承認を求める議案など7件が当局から上程された。各常任委員会に付託され、原案通り承認された。25日の本会議で採決する。ごみ手数料の引き上げは8月1日の施行を予定している。
ごみ処理手数料の条例は昨年12月定例会で提出されたが、審議を担当した経済民生委員会(大石行英委員長、6人)から「直接搬入量料金が現行条例で表記されている1㌔単位ではなく、10㌔単位で徴収されている」と指摘され、3月定例会で修正した経緯がある。
改正案によると、市指定のごみ袋は大、中、小それぞれ5円アップ。粗大ごみの回収処理料は、指定ごみ袋大に入る大きさで重量が10㌔未満のものが小、これ以外は大となり、それぞれ200円。400円に。
経済民生委の審議では「一般家庭から出るごみ量は増えておらず、値上げには反発もある。市民に還元する方法を」との指摘があり、前底正之市民保健部長は「方法はいろいろあると思う。検討したい」と答えた。
値上げ前に大量購入して品薄になるとの懸念も浮上。前浜孝始環境課長は「公平性を保つためにも考えたい」とした。
前底部長は「ごみの有料化はごみを減らすのが目的。生ごみを減らす方向で啓発していきたい。生ごみを入れると猫やカラスが来る。生活環境の改善にも取り組みたい」と述べた。
新庁舎建設用地3万159・01平方㍍のうち、国有地は2万4541・78平方㍍で取得予定価格は6億6000万円。県有地5584・16平方㍍の取得はすでに承認済み。民有地33・07平方㍍については相続人が不在となっていることから、相続財産管理人制度を活用して管理人と売買契約ができるよう手続きを進めている。
登野城小 新校舎の落成祝う
登野城小学校(浦崎喬校長、児童568人)の新校舎落成記念式典が23日午後、同校体育館であり、施工業者ら14人に感謝状が贈られた。児童をはじめ保護者や関係者多数が完成を祝い、今後のさらなる発展を願った。
新校舎は鉄筋コンクリート造の4階建て。総床面積は4982平方㍍。総事業費は25億1000万円。2016年1月15日に起工式が行われ、仮設校舎での1年7カ月間の学校生活を経て、今月7日に供用を開始した。
浦崎校長は式辞でこれまでの経緯を振り返り、児童に「この校舎は今後、数十年使われる市の大切な財産。傷つけず、壊さず大事に使ってほしい」と呼び掛けた。
川邉有音児童会長(6年)は「大切に使うよう心がけ、登小のよき伝統を守りながら、新しい校風をみんなで創っていきたい」と誓った。
石垣安志教育長と八重山教育事務所の﨑山晃所長が祝辞を述べた。同校卒業生のBEGINときいやま商店のビデオメッセージも寄せられた。
式典終了後は校舎の内覧会が行われたほか、祝賀会も開かれ、参加者が新校舎の落成をともに喜んだ。
感謝状受賞者は次の通り。
▽大浜英和、山里守也、識名安信、東宇弘、山城忠雄、黒嶋克史、砂川盛良、丸尾剛、嵩原督、大石正明、仲野雅春、後上里洋一、守下直克、上地辰晃
「合理的配慮」定着化を
■鈍い石垣市の対応
障がいを理由にした差別を禁止し、「合理的配慮」を盛り込んだ「障害者差別解消法」が施行されて今月で1年を迎えた。しかし石垣市の取り組みは中山市長の2017年度施政方針によると、スピード感ある行政運営を強調する割には「17年度は本市職員に向けた『対応要領』を作成するとともに、不当な差別的取り扱いの禁止と合理的配慮の提供について市民と共に考える場、啓発活動の場を創出し、障がいのある人もない人も共に暮らせるまちづくりを推進してまいります」と法施行1年は具体的な動きは少なく、対応は鈍い。ことしは「合理的配慮」を根付かせる具体的対応と法の周知を図る広報活動の強化が求められる。
同法は障がいは個人の心身機能の問題でなく、社会的障壁でつくられているという考え方を背景に2014年に批准された「障害者の権利条約」に基づき、不当な差別禁止と社会の中にあるバリアーを取り除くための「合理的配慮」の提供を役所などの公的機関にもサービス業などの民間企業などにも求めて制定された。
■「合理的配慮」とは
合理的配慮とは、たとえば▽車いす利用者には車いすを持ち上げて入り口まで移動の手助けをしたり、多目的トイレや専用の駐車スペースを使えるようにする▽視覚障がい者には文章を読み上げたり、点字や拡大文字で対応する▽聴覚障がい者には手話や筆談で対応▽知的障がい者には絵や図も活用、わかりやすく説明▽精神障がいがある従業員には本人の負担程度に応じて業務量を調整▽内部障がいや難病の人には疲労や緊張などに配慮し、別室や休憩スペースを設けるーなどのサービスや設備改善をいう。
不当な差別禁止は公的機関だけでなく民間企業などすべてに及び、合理的配慮は公的機関は義務、民間企業などは努力義務を課している。いずれも罰則はないが、たとえばレストランなどが障がいを理由に入店を拒否したりの差別行為を繰り返した場合などは国が直接指導するという。
法施行の昨年4月は全国各地で祝賀パレードも行われたが、1年を経た現在自治体や企業、交通機関、商店など公的機関でも民間でも法の周知が進んでいるとはいえないのが現状だ。
■市職員向けに「対応要領」
石垣市は昨年12月、「障がい者のつどい」で差別解消法のブースを設置、さらにことし1月と2月の「広報いしがき」で市民への周知を図ったが、具体的には本年度中に職員向けの「対応要領」を作成し、全庁挙げて差別禁止と「合理的配慮」の提供に乗り出す。
国は障がい者の相談に対応しながら差別解消を推進する組織として「障害者差別解消支援地域協議会」の設置を各市町村に求めているが、石垣市は既設の「石垣市障がい者自立支援協議会」(小倉隆一会長、15人)の権利擁護部会で対応するという。
障がいのある人は自ら訴える力が弱い面もあり、障がいがあっても安心して暮らせる共生社会実現に向け法の周知と「合理的配慮」を市民にも町民にもしっかり定着させたい。そしてその一環として昨年4月施行された県の手話言語条例も着実に普及させたい。
悲惨な戦争を経験し敗戦国となった日本は戦後…
悲惨な戦争を経験し敗戦国となった日本は戦後、平和憲法が制定され、戦争を起こすことも巻き込まれる心配も、もはやないとまで言われてきた▼しかし、今はどうか。不戦を誓った憲法の下、専守防衛が国の基本姿勢だったにもかかわらず権力に安住し“暴走”する安倍政権によって集団的自衛権の行使が容認され、戦争のできる国に道を開いた▼米国と対立する北朝鮮情勢を背景に同盟国の日本は国民に対し、弾道ミサイルが発射されたら身を守る手段として頑丈な建物、地下街へすぐ避難するよう呼び掛けている。これが戦後、一貫して平和を希求してきた日本の本来の姿なのだろうか▼25日には、名護市辺野古の米軍新基地建設埋め立て護岸工事に着手。一方、日本最先端の与那国島では、陸上自衛隊駐屯地の開設一周年式典を行った。住民には「次は海上自衛隊の誘致か」と警戒感がある。石垣市では、陸自の受け入れ表明を行った市長が3期目出馬に意欲を示している▼私たちは繁栄の中で、忘れてはいけないものを忘れようとしてはいまいか。時代がどう変化しようとも、いまを生きる私たちには平和な島を次代に引き渡す責務がある▼子や孫の時代に「父や母、祖父、祖母から受け継いだのは徴兵制度の戦争でした」と無念の涙を流させてはならない。(鬚川修)
「自学自習ノート」配布 八重山高校
学習意欲を引き出し、学校全体で勉強に向かう空気をつくろうと八重山高校の真久田絹代校長は7日から、希望者に「自学自習ノート」を直接手渡す取り組みを行っている。ノートはA4サイズの40㌻。真久田校長が前任校の浦添高校で行っていた実践を同校でも取り入れた。ノートは昨年10月に八重山興業㈱から同校に贈られた寄付金を活用している。
真久田校長によると、25日時点で全生徒705人中216人がノートを校長室に受け取りに来たという。
同校ではこれまでセンター試験の受験者が100人を超えたことがなく、真久田校長は「母数が増えないことには大学に行く人の数も増えない。発展クラスの40人を除いて普通クラスから60人以上の受験者を出すことが課題。ノートが一つの手だてになれば」と語る。
40人中36人がノートを受け取った1年2組の桃原結君(15)は早速、英単語の練習や世界史の学習に活用。「自分で買いに行くよりもらって勉強した方がお得感がある。毎日勉強を頑張りたい」と意欲。髙那李乃さん(同)は「家庭学習は自分であまり進んでやろうと思わないが、校長先生からもらうことで頑張ろうと思える。ノートを使って継続する力を身につけたい」と話した。
真久田校長は「3年生で進路を選択する時に自分の満足のいく学力が持てるようにノートを活用してもらいたい。当たり前のように勉強する雰囲気が広まっていけば」と期待している。
ごみ処理 手数料改正条例を可決 市議会臨時会
石垣市議会(知念辰憲議長)は25日、臨時会本会義を開き、ごみ処理手数料の引き上げや新庁舎建設用地(国有地)を取得する議案など委員会に付託されていた6件を可決した。ごみ処理手数料の改正条例は賛成多数。引き上げは8月1日から。指定袋は1枚につき大、中、小それぞれで現行より5円アップとなる。市は今後、周知徹底を図る。
ごみ処理手数料の条例を審議した経済民生委員会(大石行英委員長)は▽条例施行直前には指定ごみ袋を大量に買い占める行動が予想されるため、十分な周知徹底を図り、トラブルが発生しないよう必要な対策▽家庭系ごみの排出量が減少していることを鑑み、ごみ分別の負担や減量化の努力に対して市民に還元するような施策|を講じるよう求めた。
「家庭系ごみの排出量が減少している」と報告されたことに対し、仲間氏は「減っているのになぜごみ袋を値上げするのか」と疑問を呈し、前底正之市民保健部長は「個々の住民が排出する量は減っているが、人口増や直接搬入量増などで全体的には増えている」と説明した。
仲間均、崎枝純夫の両氏が反対、それぞれ「議論が尽くされていない。回収業者との契約金額は減っているか」「法定外目的税やふるさと納税の活用を含めて考えるべきだ」などとして反対した。
今回の改正は、他市よりも低い処理手数料を適正化し、ごみ排出量の抑制と最終処分場の延命化を図るのが目的。前底部長は「最終処分場はあと5年で満杯になるという報告がある。擁壁を上げるか、掘り起こして燃やしたり処理したりするか検討していきたい」と述べた。
答弁によると、引き上げに伴う収入は本年度で2480万円増の1億2300万円が見込まれている。
新庁舎建設用地のうち国有地は22筆2万4541・78平方㍍。取得金額は6億6000万円となっている。