■ミサイルの迎撃不可能
米国と北朝鮮の軍事的衝突の危機が高まり、世界中が懸念している。
トランプ大統領は北朝鮮の核開発を自国に対する脅威とみなし、軍事行動も辞さないと述べれば北朝鮮も米原子力空母カール・ビンソンの朝鮮半島近海への派遣を挑発的行為だと強く非難。米国が軍事行動を行った場合徹底的に粉砕すると声明を発表した。北朝鮮は在韓米軍基地や韓国大統領府を数分で焦土化する。日本本土や沖縄、グアムの基地、米本土も戦略ロケット軍の照準圏内だと強調している。
軍事評論家によると迎撃イージス艦4隻と航空自衛隊基地に配備されている地対空誘導弾(PAC3)などで撃墜する計画だが、移動可能な発射台で同時に攻撃された場合すべてを迎撃することは困難だという。
安倍首相は日米同盟の強化を強調し、米国の北朝鮮への圧力を歓迎している。在日米軍は朝鮮半島有事を想定した訓練をし、米軍と自衛隊の軍事訓練も行われている。このような軍事訓練が北朝鮮指導部の危機感をあおり、安全に対する脅威と感じるなら戦争行為に出る可能性もあるはずだ。
両国とも安易な行動は慎むべきだ。
■大国も核廃絶を
悪魔の枢軸と呼ばれた北朝鮮が核兵器開発に国家を挙げて乗り出したのは米国やロシアなど核保有5大国にも責任がある。核兵器の保有による大国の優位性をみたからこそ核兵器の開発に執心したはずだ。
武器輸出も核保有国が上位を占める。賛成反対と対立する国民同士を戦わせ、血を流させ、自らは手を汚さず武器産業は繁盛するという構図だ。
北朝鮮の例を見るまでもなく、核兵器が抑止力になるというのはもはや幻想でしかない。
核兵器を保有しているからこそ戦争の危険性が高まっているのである。
米国が北朝鮮攻撃を行った場合、日本は後方支援の拠点となる。米国にとって在日米軍基地は〈国益〉を守る最前線基地である。北朝鮮はその在日米軍基地を攻撃すると断言している。
在韓米軍は昨年10月から11月にかけてソウルから沖縄の嘉手納基地に兵士の家族等を避難させる訓練を実施。訓練では化学兵器を想定して防護マスクも使用したという。
攻撃を受けた場合日本国民はどうなるのか。自民党の山本一太参院議員は国民保護計画による大規模な避難訓練が必要だと述べている。
だが、サリンや核兵器を使用されたら日本はお手上げ状態だと指摘する識者もいる。
韓国在留の日本人保護について日本政府は民間機定期便での出国が困難になった場合、政府チャーター機や船舶の派遣、米側への救出要請を検討しているという。
しかし、戦闘中の米国や韓国がそこまで受け入れるか疑問だ。
■無用の長物自衛隊配備
飛行機や船舶を乗り継いで沖縄を経由して本土へ避難するという「石垣市国民保護計画」は机上の空論だろう。
4月14日に沖縄防衛局が陸上自衛隊の配備計画をめぐり、平得大俣の市有地の現地調査を開始した。それに先立ち、市は2月27日の防衛省との話し合いで市有地との賃借相談などに支障があるとして、「早めに候補地の範囲をはっきりさせてほしい」と防衛局へ要望している。
市民の借地願を却下し、防衛局には早めに範囲の設定を、という市の姿勢は国策優先そのものだろう。
核兵器や化学兵器の前に自衛隊のミサイル基地など無用の長物でしかない。今こそ平和の尊さを真摯(しんし)に考えるべきだ。